【人間行動】子どもは外国語であっても、その声の調子から相手の感情を認識できる
Scientific Reports
2018年6月15日
Human behaviour: Children’s ability to recognize emotions from tone of voice not limited by language
子どもは、声音から相手の感情を認識でき、母国語の方が正確に認識できるが、外国語であってもそうした感情を認識できるということを示した論文が、今週掲載される。
今回、Georgia Chronakiたちの研究グループは、外国語の経験のない子ども(57人)と若年成人(22人)に感情音声認識課題を実施した。この課題では、声優が、怒り、幸福、悲しみ、恐怖、中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断する。課題は、被験者の母国語(英語)と3つの外国語(スペイン語、中国語、アラビア語)で行われた。
その結果、子どもたちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるが、外国語の場合でも感情声音を認識できることが分かった。また、子どもたちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できた。今回の課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだとChronakiたちは考えている。また、Chronakiたちは、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低、音量、リズム)から感情を認識する能力は、小児期から備わっている普遍的な能力だが、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られるという考えを示している。
またChronakiたちは、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにした。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆している。
doi: 10.1038/s41598-018-26889-1
注目の論文
-
4月18日
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
4月18日
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
4月17日
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
4月16日
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change
-
4月16日
医学研究:一部の患者では、抗体がパーキンソン病の運動機能症状の進行を遅らせる可能性があるNature Medicine
-
4月11日
生態学:森林管理の認証制度が哺乳類の大型種と絶滅危惧種の保護に役立っているNature