注目の論文
断眠がヒトの脳に与える影響
Nature Medicine
2017年11月7日
Effects of sleep deprivation on human brain
断眠時、つまり睡眠不足の状態で見られる認知ラプス(cognitive lapse)は、脳の内側側頭葉での神経活動が減弱し、遅くなるために引き起こされるらしいことが、ヒトでの臨床研究によって明らかになった。
断眠はヒトの健康によくない影響を及ぼし、また慢性的な断眠の長期的影響は、高血圧、糖尿病、肥満、うつなどといったさまざまな病気のリスク上昇に結び付けられてきた。睡眠不足の急性作用も認知ラプスや行動ラプスを引き起こし、これが事故による傷害や死亡につながることもある。しかし、ヒトで脳内の神経活動を記録するのには侵襲的手法が必要なため、断眠が神経活動にどのように影響するかを詳しく調べるのはこれまで困難だった。
Y Nirたちは、神経外科手術に備えてモニタリング中の被験者に、断眠の前と後で一連の顔認識テストを行ってもらい、その際の内側側頭葉の単一ニューロンの活動を記録した。断眠中の神経活動は、被験者がテストを迅速に完了した場合の神経活動に比べると遅くなり、認知ラプスの特徴である遅い応答につながることが分かった。
次のステップとして欠かせないのは、神経活動のこのような遅滞や低下が脳の他の部位でも同様に起こっているかどうかを調べることだ。睡眠不足がニューロンの活動に直接影響する仕組みの詳細を突き止めるには、さらに研究を重ねることが必要である。
doi: 10.1038/nm.4433
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature