オープンリサーチの実践に関する最長期間の調査が示すのは、研究者による高い利用率と依然として残る評価と地域間の格差
2026年1月27日
Digital Science、Figshare、およびシュプリンガーネイチャーが新たな調査結果「The State of Open Data 2025: A Decade of Progress and Challenges(進歩と課題の10年)」を発表しました。
ロンドン|ニューヨーク|ベルリン 2026年1月26日
Digital Science、Figshare、およびシュプリンガーネイチャーが共同で発表した「The State of Open Data」報告書の10周年記念版は、オープンデータが研究実践に深く定着していることを明らかにしました。FAIR原則[1]の認知度は、広く浸透し、AI(Artificial Intelligence;人工知能)は研究ワークフローを大きく変革しつつあります。また、オープン性に対する研究者の支持は依然として高い水準を維持しています。
本報告書は、10年目を迎え、オープンリサーチの行動と意識に関する最長期間の調査研究となります。151か国から寄せられた4,700件以上の回答調査データと、研究者、図書館員、および政策立案者によるグローバルな専門家の視点を組み合わせることで、オープンリサーチを取り巻く課題と機会に関する前例のない洞察を提供しています。本調査は、これまでの進展を総括するとともに、今後10年間に向けた優先事項を示す指針となるものです。
おもな調査結果は次のとおりです:
- オープンリサーチの実践は広く支持されている: オープンアクセスを支持する研究者は88.1%、オープンデータは80.9%、オープンピアレビュー(査読)は75.7%に上りました。研究者は、オープン性の価値を強く認識しており、今後はそれを持続可能にするための実用的なワークフローが求められています。
- 継続的な障壁が存在する中でも着実な進展が見られる: FAIRの認知度は、2018年からほぼ倍増し、FAIR原則への理解は2018年の15.2%から2025年には40.6%へと約3倍に増加しました。一方で、データ共有に対する評価は依然として十分とは言えず、研究者の69.2%が「データ共有に対して十分な評価を受けていない」と回答しています。研究評価制度においてデータ共有を正当に評価することが、今後の進展を持続させる鍵となります。
- 国家レベルの義務化に対する地域的および分野的な差異は依然として存在する: 国家レベルの義務化に対する支持は依然として大きく異なり、分野ごとの格差も残っています。これは、現実の経験が蓄積されるにつれて、当初の合意が調整されていることを示しています。オーストラリア(2016年の義務化支持率63.2%が2025年には27.4%に低下)とブラジル(2016年に64.7%、2025年に39%)では前年比で最も急激な減少が見られました。一方、インド (2016年に59.8%、2025年に54.7%)は比較的安定した水準を維持しています。これらの結果は、政策を単独で進めるのではなく、日常的な支援体制やインフラと組み合わせ、実践的かつ再利用可能な共有を実現することの重要性を示唆しています。
- AIを活用した実践の支援が増加している:データ処理にAIを積極的に活用している研究者の割合は、2024年の22.1%から2025年には31.9%へと増加しました。メタデータ作成におけるAI活用も16.1%から25.1%へと大きく伸びています。今後、AIと相互運用性は、オープン性をよりシームレスかつ自動化された、信頼性の高いものにするうえで重要な役割を果たすと考えられます。その一方で、倫理、研究セキュリティー、および明確な基準の整備が将来の枠組みを形作ることになります。
VP of Open Research at Digital Science およびFigshare創設者である、Mark Hahnel氏はこの10年の変遷について次のように述べています:
「10年にわたるデータが示すように、オープンリサーチはもはや理想論ではなく、研究現場に定着した実践となりました。しかし、進歩はここで終わりではありません。研究者には、オープン性を正当に評価する仕組みと、共有を容易にするワークフローが必要です。研究評価の改革とインセンティブの整合こそが、今後の進展を持続させる鍵となるでしょう。」
シュプリンガーネイチャーのDirector Research Data InnovationであるGraham Smith(グラハム・スミス)は次のように述べています:
「このような協働により、私たちは研究者の皆さまを活動の中心に据えることができます。オープンサイエンスの政策、インフラ、およびツールが、研究者の負担の軽減やデータ品質の向上において真に実用的かつ効果的なものとなるためには、研究者の知見が不可欠です。さらに、オープン性は、質の担保と効果を示す明確な根拠と結びついたときに最大の価値を発揮します。そのため、シュプリンガーネイチャーは、今後も業界横断的なパートナーやイニシアチブ——State of Open Data Report、PathOS、Make Data Countなど——と連携し続け、基準の形成、実践的な解決策の開発、そして研究コミュニティーへの測定可能なインパクトの創出に貢献してまいります。」
本レポート全文は次のリンクよりダウンロードいただけます。レポートの詳細な調査結果はこちらから:stateofopendata.com
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[1] FAIR原則(FAIR Data Principles):人間と機械の両方によって、研究データを「見つけやすく(Findable)」、「アクセスしやすく(Accessible)」、「相互運用しやすく(Interoperable)」、「再利用しやすく(Reusable)」するための国際的なデータ管理のガイドライン。これにより、データが発見されやすく、利用可能であり、そして長期的に価値ある状態が保証されます(https://www.go-fair.org/fair-principles/)。
シュプリンガーネイチャーについて
シュプリンガーネイチャーは、世界をリードする研究出版社のひとつです。当社は、最も多くのジャーナルや書籍の出版数を誇り、オープンリサーチのパイオニアでもあります。180年以上にわたって信頼されてきた主要ブランドを通じて、研究者が新たなアイデアを見いだしてそうした発見を共有すること、医療従事者が医学の最前線に立ち続けること、教育者が学習を促進することを支援するテクノロジーを活用した製品、プラットフォーム、およびサービスを提供しています。当社は、当社が支援するコミュニティーとの協力のもと、知識を共有し、世界に対する理解を深めるための進歩に貢献していることを誇りに思っています。
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本件に関するお問い合わせ
宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com
※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。
