Press release

Nature掲載のすべての新規投稿論文[1]に対し、透明性の高い査読を標準化

2025年6月23日

試験運用の成功を受け、Nature で論文を出版するすべての著者が透明性の高い査読(TPR:Transparent peer review)の恩恵を受けられるようになりました。これにより、知識の共有がさらに促進され、オープンサイエンスの原則が一層強化されます。

ベルリン|ロンドン|ニューヨーク 2025年6月19日

シュプリンガーネイチャーが出版する世界有数の科学学術誌Nature は、研究の透明性への取り組みを大きく前進させると発表しました。2025年6月16日以降、Nature に投稿され、掲載することが決まったすべての一次研究論文は、標準として、透明性の高い査読(TPR:Transparent peer review)が自動適用されます。査読報告書と著者の返答を掲載論文とともに公開することで、科学的議論の可視性が高まり、オープンサイエンスの原則がさらに推進されます。なお、査読者の氏名は、査読者本人から公開を希望しない限り、匿名のままとなります。

この発表について、Nature 編集長のMagdalena Skipper(マグダレーナ・スキッパー)は、次のようにコメントしています:

「研究論文を発表する前に同分野の専門家が評価することは、ロバストで厳密な研究を普及させる上で不可欠な要素です。査読の目的は、論文を改善して、著者の主張をより洗練させることにあります。しかし、編集者がとりまとめる著者と査読者の議論は、ほとんど公開されず、報告もされていませんでした。査読ファイルを公開することは、研究者およびより広いコミュニティーにとって重要なメリットをもたらします。これは特に、若手研究者にとって、出版プロセスに関する重要な洞察を提供すると考えています。私たちは、Nature のすべての一次研究論文で透明性の高い査読を提供できるようになり、著者およびコミュニティーにこのメリットを提供できることを大変嬉しく思っています。」

Nature のすべて一次研究論文における透明性の高い査読の導入は、成功裏に終わった試験運用を踏まえたもので、2020年に導入されたオプトイン方式を基盤としています。この方式では、著者は研究論文とともに査読ファイルを公開するかどうかを選択できました。透明性の高い査読は、オープンな査読の幅広い実践の一環であり、研究における透明性とオープンな共有を推進するシュプリンガーネイチャー(Natureの出版元)の幅広いコミットメントと合致するものです。

シュプリンガーネイチャーのネイチャーポートフォリオのExecutive VP、Journalsである Deborah Sweet(デボラ・スウィート)は、次のように付け加えています:

「透明性は、研究においてますます重要なツールとなっています。これは、コミュニティーへの私たちのコミットメントの核心であり、私たちは、ネイチャーポートフォリオの幅広い研究学術誌において、透明性の高い査読をより広範に提供すべく積極的に取り組んでいます。学術的な議論を共有することで、科学的知識がどのように進化していくかをより深く理解し、科学への信頼を高めて、知識の共有と研究データの共有を促進し、オープンサイエンスのより大きな目標を後押しできます。」

シュプリンガーネイチャーは、研究出版における透明性のメリットを早くから認識していました。1999年にはBMCが、査読者の氏名と出版前の履歴の公開を開始し、Nature Communications は、2016年から透明性の高い査読の制度を選択肢として提供し、2022年以降は直接投稿されたすべての論文に適用しています。Nature を含むネイチャーポートフォリオの多くの学術誌は、査読者が希望する場合に、査読者の氏名を公開する欄を設けています。さらに、2024年初頭の時点で、シュプリンガーネイチャーのジャーナルポートフォリオの3分の1以上が、In Reviewのプラットフォームを通じて、プレプリント論文としての早期共有と査読における透明性向上の恩恵を受けています。

Nature の方針に関する詳細情報はこちら、シュプリンガーネイチャーの学術誌全体に関する情報はこちらでご確認いただけます。当社の研究における透明性へのコミットメントに関するさらなる議論は、こちらでご確認いただけます。

注釈

[1] 透明性の高い査読(TPR:Transparent Peer Review)の義務化は、2025年6月16日(月)以降の投稿から適用される。

参考リンク:

Transparent peer review to be extended to all of Nature’s research papers

Nature Communications では、透明性の高いピアレビューを本格導入 | Nature Portfolio

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本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:Transparent peer review (TPR) now standard for all newly submitted (1) research papers upon publication in Nature

 

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