Press release

シュプリンガー・ネイチャーとBibsam Consortium、Nature とNature リサーチ誌の転換契約に合意

2022年3月14日

当社は、主力タイトルNature を含む2件目の転換契約を発表し、全ポートフォリオにわたって2,650以上の研究機関によるOA出版をサポート

2022年3月14日

シュプリンガー・ネイチャーは本日、主力タイトルNature を含む2件目の転換契約(TA;Transformative Agreement)について発表いたします。スウェーデンのBibsam Consortiumと締結した同契約により、10団体の参加研究機関に属する論文著者がNature とNature リサーチ誌に受理(アクセプト)された研究論文をただちにオープンアクセス(OA;Open Access)で出版できるようになります。出版にかかるすべてのOAコストは、当コンソーシアムとの契約によって賄われるため、個々の研究者の費用負担はありません。

今回の新たな契約は、シュプリンガー・ネイチャーとBibsamの長期にわたるOAパートナーシップにもとづくものであり、現行の2019年契約の更新・延長も見込まれています。それにより、シュプリンガー・ネイチャーの完全OAジャーナルと2,000誌以上のハイブリッドジャーナルにおけるOA出版のみならず、パルグレイブ(Palgrave)ジャーナルおよびアカデミック(Academic)ジャーナルも契約の対象に含まれ、より広範囲の学術分野において、スウェーデンの論文著者にOA出版のオプションが提供されることになります。また、参加研究機関は、対象範囲が拡張されたすべての購読コンテンツにアクセスできるようになります。

シュプリンガー・ネイチャーのVP Open AccessであるCarrie Webster(キャリー・ウェブスター)は、次のようにコメントしています。

「今回のBibsamとの契約により、90%以上の研究コンテンツのOA出版が可能となり、その対象にスウェーデンの研究成果の大部分を含めることができたことを大変誇りに思います。このことは、転換契約が、公的資金を利用した研究成果への即時かつオープンなアクセスをすべての人に提供し、国全体の研究成果のOAへの転換を実現させるうえで、重要な役割を果たしていることを示しています」

「Bibsamは、長年にわたる当社のパートナーとして、持続可能なOA移行の実現とサポートに努めています。現行の転換契約の更新・延長、ならびにNature を対象とした2件目となる転換契約が実現したことを嬉しく思います。今回の契約は、OAに対する共同の取り組み、および全世界の研究のサポートにおける記念すべき素晴らしい節目となります」

National Library of Sweden、Libraries Collaboration and Research Support DepartmentのActing DirectorであるAnna Lundén氏は、次のように述べています。

「シュプリンガー・ネイチャーとのパートナーシップをさらに延長し、オープンアクセスへの移行に向けてスウェーデンの研究者をサポートできることを嬉しく思います。今回のシュプリンガー・ネイチャーとの新たな契約は、一次研究論文をNature とNatureリサーチ誌に掲載する機会を提供し、スウェーデンの研究者がOAで出版する費用をカバーします」

今回のNatureを含めた転換契約の更新と追加によって実現するOA論文数の増加、また、OA論文のダウンロード数が平均で非OA論文の6倍以上、引用数が1.6倍以上であるという事実をふまえると、スウェーデンの研究者、ならびにスウェーデンが資金を提供する研究のリーチとインパクトはさらに大きなものとなります。スウェーデンのアプサラ大学のMelanie During氏は、今回の契約のもとで初めて出版されたNatureのOA論文を筆頭著者として執筆しましたが、すでにこの契約の恩恵を受けています。恐竜時代が終わりを告げた際の季節を特定した今回の論文は、700件以上の世界的なニュースを生み出し、すでに32,000回以上アクセスされています。

Melanie During氏は、OAの価値とインパクトについて次のようにコメントしています。

「私たちは、一般の人々が科学を理解し、より信頼するためには、研究に簡単にアクセスできることが最初のステップだと考えています。そのため、すべての人が私たちの研究を読み、データにアクセスし、ダウンロードし、私たちが行った研究を知ることができるようにしたいと思いました。そして、それが実現しつつあることを私たちは目の当たりにしています。私たちの論文が1週間で32,000回も読まれ、読者の約80%が一般市民であることは驚くべきことです!」

シュプリンガー・ネイチャーでは、Nature とNatureリサーチ誌のポートフォリオにOAオプションを導入して以来、当ポートフォリオを対象に含める転換契約について、既存パートナーと議論を進めてきました。当ポートフォリオの選択性の高さや、該当ジャーナルにおける非一次研究コンテンツの独自性、研究機関や国による出版レベルの違いなどにより、その議論には時間を要することもあります。転換契約は、万能型のアプローチではありません。Nature に関するBibsamとの転換契約は、当社が締結したものとしてはMax Planck Digital Library (MPDL)に続いて2件目となります。したがって、Bibsamとの持続可能な移行モデルを見出すことが、主力タイトルのOA出版の実現を進めるという当社の取り組みを評価する重要な指標となります。

シュプリンガー・ネイチャーは、分野、地域、資金に関係なく、すべての著者のOA出版をサポートし続けています。当社は、17の国家レベルの契約と機関契約により、現在2,650を超える提携機関の研究者のOA出版を支援しており、年間41,400以上のOA論文の出版が見込まれ、ほかの出版社よりも10%多く出版します。昨年は、ゴールドオープンアクセスの一次研究論文およびレビュー論文を100万本即時出版した最初の出版社であり、約250万人の著者の研究のOA化をサポートしています。

シュプリンガー・ネイチャーは、オーストリア、オーストラリア、コロンビア、エジプト、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、イタリア、アイルランド、ノルウェー、オランダ、ポーランド、カタール、スイス、スペイン、スウェーデン、英国と国家レベルの転換契約を結んでいます。

転換契約(TA:Transformative Agreement)について

定義:転換契約では、参加機関が、ジャーナル購読型(閲覧)アクセスとOA出版の費用(論文掲載料、APC:Article Processing Charge)を組み合わせられるようになっています。転換契約では、OAの費用と運営管理を行うだけでなく、著者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法も示しています。

解説:転換契約のもとでは、購読型アクセスとOA出版が、機関コンソーシアム全体で、1つの購読・出版契約にまとめられます。すなわち、当該コンソーシアムの参加機関の研究者は、「ゴールド」オープンアクセスモデルにもとづいて出版ができるだけでなく、購読型ジャーナルの論文にもアクセスできることになります。シュプリンガー・ネイチャーは、ほかの出版社に先駆けて、このような契約をオランダのVSNU(Vereniging van Universiteiten;オランダ大学協会)と2014年に初めて締結しました。この契約により、参加機関にとっても、所属研究者にとっても、OAの運営管理が容易になりました。さらに、より広範な研究者たちが、研究の発見性の向上、引用回数の増加、OAコンテンツの利用増加といった恩恵を享受できるようになり、OA資金が不足しているという問題をかかえる一部の研究領域では、その解決にもつながります(APCの一元管理により、参加機関に属する研究者なら誰でも、学術分野に関係なくOA出版が可能になります)。転換契約ではまた、研究者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法を示しています。

シュプリンガー・ネイチャーのOAおよびオープンリサーチに関する取り組みについては、OAファクトシートおよびオープンリサーチのページをご覧ください。

  • 転換契約(Transformative Agreements):転換契約は、参加する機関がジャーナルを購読するためのアクセスとOA出版のコスト(APC)を組み合わせることを可能にする契約です。
  • ハイブリッドジャーナル(Hybrid Journal):購読型ジャーナルのうち、受理された論文をゴールドオープンアクセスで出版するオプションを著者に提供するもの。オープンアクセスで出版する場合には、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)が発生します。
  • ゴールドオープンアクセス (Gold OA):出版社のプラットフォームにおいて、論文や書籍を論文掲載料や書籍出版料などを支払うことでオープンアクセスで出版するルートです。原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後直ちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となります。ゴールドOAの論文出版は、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)や転換契約によって賄われています。

シュプリンガー・ネイチャーは、175年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、出版するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心をもつすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良なサービスを提供します。

学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー(Springer)、ネイチャー・ポートフォリオ(Nature Portfolio)、BMC、パルグレイブ・マクミラン(Palgrave Macmillan)、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)などの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

Nature およびNature関連誌が行っている制作作業と、出版された研究のリーチと影響に関する情報は、「Inside Natureネイチャー・ポートフォリオをインフォグラフィックで 」からご覧いただけます。

Nature およびNature関連誌に関する詳しい情報は「Nature and the Nature research journals」のページをご覧ください。

Nature には、専属で120人以上が働いており、Natureリサーチ誌を含めると360人以上がジャーナルの制作に携わっています。280人以上の編集者が一次研究のコンテンツに関わっており、その中の193人の専任のプロフェッショナルな社内編集者が、査読と改訂のプロセスを通じて著者を先導・支援し、最終原稿が可能な限り最高のものになるように協力しています。これらの編集者は、それぞれのコミュニティーと強く結びついています。2019年には、学術コミュニティーと関わり、理解を深め、透明性、完全性、適切な認識を促進する取り組みを支援するために、2,000以上の会議、プレゼンテーション、研究室訪問に参加し、講演を行いました。

編集者は、ほとんどの時間を出版されない原稿の評価に費やしており、出版された論文当たりのコストは、出版された論文数と出版されていない論文数によって大きく左右されます。

これらのタイトルでの出版は、著者にとっても大きな価値を提供しています。Nature およびNatureリサーチ誌に掲載された論文は、一般的なジャーナルに掲載された論文と比較して、引用は平均で約12倍、機関利用者によるダウンロード数は約34倍です。また、Nature およびNatureリサーチ誌に掲載された研究は、昨年の政策文書で9,500件近くの言及を受けており、そのリーチの広さと影響力の大きさを示しています。

スウェーデン国立図書館によって運営されるBibsam Consortiumは、1996年に設立され、大学、総合大学および政府によって助成されている研究機関を含む93の団体が参加するコンソーシアムです。参加団体の代表者は、Bibsam運営委員会を構成し、電子ライセンス全般および交渉に関する戦略的な問題や政策に取り組んでいます。

宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
Tel: +81 (0)3 4533 8204
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:Springer Nature and Bibsam Consortium agree TA for Nature and the Nature Research journals

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