Press release

シュプリンガー・ネイチャーのCEOが、COVID-19からの教訓をもとに、研究コミュニティー間の連携を強化してオープンサイエンスを加速させようと呼びかける

2021年1月26日

Vrancken Peetersは、オープンサイエンスの恩恵を得るためには、パートナーシップと連携が重要であると述べます。

ロンドン|ベルリン 2021年1月12日

オープンアクセス(OA)出版を牽引するシュプリンガー・ネイチャーの最高経営責任者(CEO)であるFrank Vrancken Peeters(フランク・ブランケン・ピーターズ)は、本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生した過去1年間に出版界とより広い研究コミュニティーのパートナーシップによってもたらされた利益について論じ、こうしたパートナーシップを強化するよう呼びかけます。

Vrancken Peetersは、ベルリンで開催される第13回APE(Academic Publishing in Europe)年次総会の基調講演において、過去1年間に収集した証拠とデータを提示して、オープンサイエンスがもたらす利益を充分に実現するためには、研究出版社による協調的な取り組みが必要であることを示します。この取り組みは、パートナーシップ、連携、オープンアクセス、透明性を中心としたものです。

シュプリンガー・ネイチャーでは、数多くのパートナーシップが成功しており、進行中であることから、そうしたパートナーシップに対してオープンになっていることで達成される、実際の具体的な利益を実証する強力な証拠を数多く持っています。例えば、下記のようなものです。

  • Projekt DEALやカリフォルニア大学との転換契約により、研究者への出版オプションを増やして、大規模なOAへの移行を可能にした。
  • ResearchGateとのコンテンツ・シンジケーションや、CrossrefやGet FTRのような出版社横断的な取り組みの創設メンバーとなるなど、研究へのアクセスと発見性を、パートナーシップを通じて向上させた。
  • Digital Scienceのようなデータの専門家や、オランダのVSNU(Vereniging van Universiteiten;オランダ大学協会)やUKB(universiteitsbibliotheken en de Koninklijke Bibliotheek;オランダの大学図書館と国立図書館のコンソーシアム)のような機関やコンソーシアムと協力して、オープンリサーチの社会的影響の理解を深めた。
  • 国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワークと連携して、およそ1000人に及ぶ研究者、専門家、国連職員、政府代表者、市民社会のリーダー、政策立案者を結び付けたハイレベルな世界的なオンライン会議を開催し、持続可能な開発目標(SDGs)の進展に向けた研究の重要性を実証した。

Vrancken Peetersは、次のように述べる予定です。

「信頼を得るためには、オープンになっていることと透明性が必要です。信頼は、あらゆるパートナーシップの基礎であり、オープンサイエンスは、私たち全員にとって価値あるものです。オープンサイエンスは、ワクチンやSDGsの解決策のような利益を全世界にもたらす、加速化されたより効果的な研究システムにつながるものです。オープンサイエンスは、研究の進むべき道なのです」

「オープンサイエンスは、社会にとってより良いものであり、これを最も明確に示しているのが、COVID-19のパンデミックにおいて、研究と知識をオープン化することで、ワクチン開発が記録的な速さで可能になったことです。オープンサイエンスは、イノベーション、雇用創出、経済成長を促進しながら、多様性と包括性における矛盾を浮き彫りにして、不平等を軽減する可能性を秘めています」

例えば、PWCの調査によると、FAIR[Findable(発見できる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互運用できる)、Reusable(再利用できる)]な研究データを持っていない(すなわち、ヨーロッパで行われた研究データにアクセスして再利用することができなかったり、研究に対する認識不足や公表されていない否定的な結果のために研究が重複したりする)ことが原因で、ヨーロッパのみで最大260億ユーロのコストがかかると試算されています。これは、Horizon Europeの年間研究予算のほぼ2倍であり、EUのジャーナル購読料およびOA出版のためのAPC(論文掲載料)を合わせた年間支出額の10倍以上、世界全体のジャーナル購読料とAPCを合わせた年間支出額の2.5倍に相当します。

Vrancken Peetersによると、「今は、出版社にとって非常にエキサイティングな時期です。私たちは、世界の研究開発費の中では比較的小さな歯車かもしれませんが、科学をオープンにして、研究プロセスの効率性と研究成果の堅牢性を向上させるという役割を果たすことで、より広いコミュニティーに非常に大きな利益をもたらして、これまで以上に貢献できるようになります」

Vrancken Peetersはまた、より多くのパートナーシップと連携が必要なだけでなく、オープンサイエンスの基本的な構成要素であるオープンアクセスは、「グリーン」ではなく「ゴールド」でなければならないと明言しています。これは、公開された最終バージョンにアクセスできることが、真に意味のあるオープンサイエンスを実現する唯一の方法であるからです。

「私たちは、一次研究の出版社として、科学的な記録に注意を払う義務があります。データやコードなど、オープンサイエンスに必要な全ての要素の統合ハブとして機能するのは、永続的かつ動的に更新されるバージョンのみなのです」

「私たちは、出版社として、グリーンOAの袋小路に入らないよう協力しなければなりません。グリーンOAは、オープンな研究を提供せず、購読の継続に依存し、持続可能な資金調達モデルを提供しないものです。そうではなく、オープンサイエンスのために協力し、ゴールドOAの高速に乗り出さねばなりません」

シュプリンガー・ネイチャーは、研究者、教育者、臨床医、その他の専門家に発見への扉を開きます。当社の出版物、書籍、ジャーナル、プラットフォーム、およびテクノロジーソリューションは、世界中で毎日何百万もの人々に届いています。175年以上にわたり、当社のブランドとインプリントは、これらのコミュニティーに信頼される知識の源となっております。今日では、これまで以上に、これらの人々が基礎的な知識にアクセスし、それらの研究を信頼し、理解し、利用できるようにすることが当社の責任であると考えています。それによって、研究者がより良い成果を創出し、前進し、後に続く世代の恩恵となるよう努めています。

詳しい情報は、group.springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
コミュニケーションズ
Tel: +81 (0)3 4533 8204
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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