注目の論文
キーストーンXLパイプラインが温室効果ガス排出量に与える影響
Nature Climate Change
2014年8月11日
Impact of the Keystone XL pipeline on greenhouse gas emissions
カナダのオイルサンド油田と米国内の精製施設、港湾施設とを結ぶキーストーンXLパイプライン(計画中)の温室効果ガス排出量に対する影響が、これまでの想定を大きく上回る可能性があるという結論を示した論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、気候政策研究コミュニティーに幅広く関係するだけでなく、このパイプラインの建設の是非をめぐる議論が正しい情報に基づいて進められるようにする上でも役立つ可能性もある。
キーストーンXLパイプラインのプロジェクトは、大きな論争を巻き起こしており、環境保護論者からも批判されている。米国のオバマ大統領は、このパイプラインが炭素汚染の問題を著しく悪化させないのであれば、建設計画を認可すると語った。
今回、Peter EricksonとMichael Lazarusは、経済モデルを用いて、このプロジェクトが温室効果ガス排出量に与える影響可能性を定量化した。EricksonとLazarusの解析では、既存の環境影響評価と経済評価の欠陥が指摘され、パイプラインの建設によって、国際石油価格が低下して、石油の消費量が増加するため、このプロジェクトが温室効果ガス排出量に及ぼす影響全体が、従来の想定の4倍になることが明らかになった。また、これと似たモデルを適用して、他の多くの化石燃料の抽出・供給インフラに対する投資計画が温室効果ガス排出量に及ぼす影響を評価できる可能性もある、とEricksonとLazarusは指摘している。
doi: 10.1038/nclimate2335
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