注目の論文
チチュラブ衝突後の強い海洋酸性化
Nature Geoscience
2014年3月10日
Severe ocean acidification following the Chicxulub impact
メキシコ・ユカタン半島で6500万年前に起きたチチュラブ小惑星衝突により生じた硫黄に富んだ蒸気が海洋を急速に酸化させた可能性があるとの報告が掲載される。この発見は、その時に海洋表層の生物種が絶滅し、深海生物が選択的に生き延びたことを説明できる可能性がある。
大野宗祐たちは、チチュラブ衝突の起きた場所で見つかった硫黄に富んだ岩石である硬石膏に対して衝突実験を行い、衝突で生じた蒸気の組成を分析した。大野たちは、小惑星が地球に衝突するときに予想される速度に近い衝突速度では、硬石膏中の硫黄は蒸発して三酸化硫黄となり、大気中の水蒸気とすぐに反応して硫酸エアロゾルを形成することを発見した。大野たちは、硫酸エアロゾル粒子は衝突した場所から放出されたより重い破片の粒子に付着することを示している。その結果、硫酸エアロゾルは、これまで考えられていたよりもずっと早く2~3日中に表面に沈着したと考えられる。このようにして、硫酸が急速に地球の表面にもたらされたので、海洋表層が強く酸化され、海洋生命に有害な影響を及ぼしたのだろう。
doi: 10.1038/ngeo2095
注目の論文
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月7日
考古学:デジタル地図によりローマ帝国の道路網が10万キロメートル増えるScientific Data
-
11月5日
気候:極端な強風がタービンの限界を超えて動かす可能性があるNature Communications
-
11月4日
地球科学:南極氷河の急速な後退Nature Geoscience
-
10月30日
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
-
10月30日
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
