注目の論文
大量絶滅が支配する貝殻
Nature Geoscience
2008年7月12日
Shells ruled by mass extinctions
サンゴや軟体動物などの海洋石灰質生物が地質学的時間を通じて骨格を形成する過程は、海洋の化学的性質が全球で変化することではなく、大量絶滅からの回復によって支配されている。これまでの研究は、海洋のマグネシウム含有量変化が生物の骨格を形成するために用いる鉱物を支配していることを示唆していた。
海洋の石灰化生物は、その生物の生理機能に応じて、アラゴナイトかカルサイトの炭酸塩カルシウムの殻を分泌する。現在の海洋では、アラゴナイトが大勢を占め、カルサイトを分泌する生物は20%以下である。
Nature Geoscience(電子版)でW Kiesslingらは、大量の古生物データベースを用いて、この関係を過去5億年にわたって検証した。その結果、カルサイト分泌生物の割合は、海洋の化学的性質ではなく、大量絶滅とその回復期間と強い関連があることが分かった。彼等は、海洋石灰化生物群の進化の運命は、海洋の化学的性質が周期的に変化することではなく、大量絶滅から選択的に回復することに強く依存していると示唆している。
doi: 10.1038/ngeo251
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