注目の論文
【進化】農業が盛んになる前から繁栄していた先史時代のヒト集団
Scientific Reports
2012年10月18日
Evolution: Prehistoric human populations prospered before the agricultural boom
ヒト集団の大規模な成長と活動は、農業の発達によって促進されたが、新石器時代より前から大きく拡大し始めたのか、その後だったのかについては論争が続いている。ヒトは、新石器時代に作物を栽培し、動物を家畜化し始めている。農業は、約1万2000~1万1000年前に西アジアの肥沃な三日月地帯で発生し、その後の数千年間に他の地域で独自に発達したと考えられている。今回、L Jinたちは、世界各地でのヒトの人口増加パターンを比較するために、1000ゲノムプロジェクトで得られたアフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカの11集団の900点以上のミトコンドリアゲノムを解析した。その結果、Jinたちは、拡大するヒト系統を同定し、過去の人口統計学的変動を再現した。アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカのいずれの大陸でも、農業が登場するまでに、主要なヒト系統の大部分が融合していた。
今回の研究で得られたデータによれば、大規模な人口増加が起こったのが、最終氷期最盛期(最終氷期のピーク)より後で、新石器時代より前であったことが示唆されている。Jinたちは、最終氷期最盛期後の穏やかな気候によって、過ごしやすい環境となり、これが先史時代のヒト集団の拡大にとって重要な要素となったと考えている。集団の大型化は、農業の導入への駆動力の一つとなった可能性が非常に高く、その結果、農業は、補完的な食料源から主要な食料源へと変貌したのだ。
doi: 10.1038/srep00745
注目の論文
-
4月19日
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
4月18日
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
4月18日
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
4月16日
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change
-
4月12日
気候:熱波と極端な海水準上昇の同時発生で海岸線地帯に対する脅威が高まっているCommunications Earth & Environment
-
4月11日
生態学:森林管理の認証制度が哺乳類の大型種と絶滅危惧種の保護に役立っているNature