注目の論文
猛暑が小麦の老化を早める
Nature Climate Change
2012年1月30日
Hot crops age prematurely
作物収量を減らす影響のある作物の老化は、現在の大部分の作物モデルで過小評価されており、小麦の老化が極度の暑さによって加速することが明らかになった。この新知見は、小麦生産にとっての気候温暖化が、現在の作物モデルによる予測以上の大問題であることを示唆している。この研究結果を報告する論文は、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。 気候変動が農業に及ぼす影響を予測する際の不確実性の重要な原因の1つは、極度の高温に対する作物の応答があまり解明されていないことだ。今回、D Lobellたちは、インド北部での小麦の生育に関する人工衛星の測定結果を用いて、摂氏34度を超える高温に曝露された後の小麦の老化速度をモニタリングした。 広く用いられている2つの作物モデルによるシミュレーションでは、高温が小麦の老化に与える影響が過小評価されることが示唆された。老化の開始は、登熟、したがって作物収量の重大な制約であるため、作物モデルでは収量の減少が過小評価される可能性が高い。以上の新知見は、農業における適応策の成否が、非常に暑い日に対する作物の感受性をうまく低下させられるかどうかにかかっていることを示唆している。
doi: 10.1038/nclimate1356
注目の論文
-
3月29日
環境:コロラド川の水の半分以上は農地の灌漑に使用されているCommunications Earth & Environment
-
3月28日
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
3月28日
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
3月27日
気候変動:気候変動がワイン生産に及ぼす影響を評価するNature Reviews Earth & Environment
-
3月26日
水中探査が明らかにした予想外に大きなサントリーニ火山の歴史的噴火Nature Geoscience
-
3月22日
気候変動:地球温暖化によって食料価格の高騰がさらに進むかもしれないCommunications Earth & Environment