微生物学:干ばつは土壌微生物の抗生物質耐性を促進するかもしれない
Nature Microbiology
2026年3月24日
Microbiology: Drought may promote antibiotic resistance in soil microbes
干ばつ状態は、土壌中の天然抗生物質の濃度を高め、抗生物質耐性菌の増殖を促進するかもしれないことを報告する論文が、Nature Microbiology に掲載される。著者らは、116か国の臨床データを用いて、地域の乾燥度と病院における抗生物質耐性の平均発生頻度との間に関連性があることも報告しており、気候変動が公衆衛生に影響を及ぼすもう一つの経路を示唆している。
土壌は、天然の抗生物質化合物の豊富な供給源であり、多くの土壌微生物はそれらにさらされても生き残るためのメカニズムを進化させてきた。しかし、気候変動によって引き起こされる干ばつの頻度や期間の増加が、土壌中の抗生物質産生微生物および抗生物質耐性微生物のバランスにどのような影響を与えるかは不明である。また、これが人間の健康に何らかの影響を及ぼすかどうかも定かではない。
Dianne Newman、Xiaoyu Shanら(カリフォルニア工科大学〔米国〕)は、乾燥が土壌の抗生物質動態にどのような影響を与えるかを調べるため、計算機解析および実験室実験を組み合わせた。著者らは、米国カリフォルニア州の農地や草原、スイスのヴァレー(Valais)州の森林、および中国南昌(Nanchang)の湿地など、過去の研究から得られた5つのメタゲノムデータセットをまとめた。著者らは、次に、土壌の乾燥度にもとづいて、微生物の抗生物質産生遺伝子および抗生物質耐性遺伝子の量がどのように変化するかを評価した。その結果、5つのデータセットすべてにおいて、干ばつ条件下で抗生物質産生遺伝子の存在量が有意に増加することが判明した。これには、β-ラクタム系抗生物質(ペニシリンなど)やマクロライド系抗生物質も含まれる。代表的な土壌サンプルを用いた実験室実験では、干ばつ条件下で抗生物質の濃度が上昇し、一部の抗生物質感受性菌株の相対適応度が99%低下した。しかし、グラム陰性菌を含む抗生物質耐性菌では、相対適応度の低下は見られなかった。
116か国の病院から得られた抗生物質耐性データを、各地域の年間降水量および平均気温と比較したところ、乾燥度が高いほど、臨床分離株における抗生物質耐性の平均頻度が高くなる傾向が確認された。因果関係を示すには、さらなる研究が必要であるとしつつも、これらの知見は、気候変動による土壌の乾燥化が、抗生物質耐性がもたらすリスクを増大させる可能性があることを示唆している。
- Article
- Published: 23 March 2026
Shan, X., Cao, K., Jeckel, H. et al. Drought drives elevated antibiotic resistance across soils. Nat Microbiol (2026). https://doi.org/10.1038/s41564-026-02274-x
News & Views: Climate change propels antibiotic resistance from soils into hospitals
https://www.nature.com/articles/s41564-026-02284-9
doi: 10.1038/s41564-026-02274-x
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