健康:ヨーロッパにおける熱関連死の調査
Nature Medicine
2025年9月23日
Health: Investigating heat-related deaths in Europe
ヨーロッパでは2024年夏、熱関連の要因により、6万2,000人以上が死亡した可能性を示すモデリング研究を報告する論文が、Nature Medicine に掲載される。この結果は、欧州32カ国、5億3,900万人のデータに基づいている。著者らはまた、熱による健康危機を少なくとも1週間前に確実に予測できる新たな早期警報システムの構築を提案している。
人為的気候変動による世界的な記録的猛暑の連続は、極度の暑さを世界で最も致命的な健康脅威の一つに変えた。2024年は、観測史上最も暑い年となり、ヨーロッパは世界平均の2倍の速さで温暖化が進んでいる。しかし、2024年の欧州全域における熱関連死亡の影響は、いまだ定量化されていない。
Tomáš Janošら(バルセロナ世界保健研究所〔スペイン〕)は、EARLY-ADAPTデータベースから5億3,900万人分の日次死亡記録を分析し、2024年に欧州32カ国で発生した熱関連死亡の負担を推定した。2024年6月1日から9月30日までの間に6万2,775件の熱関連死亡が発生したと推定された。この死者数は、2023年夏に同地域で記録された熱関連死より24%高いものの、6万7,000人以上が極度の暑さで死亡した2022年と比較すると8.1%低い数値である。
ヨーロッパ全域における熱健康危機の予測に向けた次世代早期警報システムを検証するため、著者らは2022年から2024年夏の熱死亡記録を分析した。その結果、特に異常な暑さに見舞われた夏において、健康危機事象は大陸全域で高い信頼性をもって少なくとも7日前に予測可能であることが判明した。ただし、1週間を超える予測期間では、早期警報システムの性能は変動が大きく、南ヨーロッパでは他の地域よりも優れた性能を示した。
- Article
- Published: 22 September 2025
Janoš, T., Quijal-Zamorano, M., Shartova, N. et al. Heat-related mortality in Europe during 2024 and health emergency forecasting to reduce preventable deaths. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03954-7
doi: 10.1038/s41591-025-03954-7
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