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惑星科学:ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が雲に覆われた新生外惑星を観測

Nature

2025年6月11日

Planetary science: JWST detects cloudy and newly forming exoplanets

Nature

太陽に似た若い恒星YSES-1の周りにある2つの太陽系外惑星を直接撮像したところ、1つは塵のような雲で満たされた大気を持ち、もう1つは円盤(新しく形成された惑星を示す)に囲まれていることが明らかになった。この詳細な観測は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST:James Webb Space Telescope)によって行われ、今週のNature に論文が掲載される。

YSES-1星系は、若い太陽のような恒星と2つのガス惑星から構成されている。YSES-1 bは恒星に最も近く、YSES-1 cは外側の小さな惑星である。YSES-1 bとcは、他の太陽系外惑星(または褐色矮星)よりも赤みが強く、異なる大気の性質を持っていることを示唆している。この系は、JWST以前にもいくつかの望遠鏡で観測されていたが、JWST計画以前には詳細な観測は不可能だった。

JWSTによるYSES-1系の新しい画像がKielan Hochら(宇宙望遠鏡科学研究所〔米国〕)によって発表された。これらには、太陽系外惑星YSES-1 cの大気中のケイ酸塩雲の最初の直接観測が含まれており、その大気の組成に関するこれまでの理論を裏付けている。著者らは、雲の組成、粒子の大きさ、および大気中の位置を特定し、ケイ酸塩雲には鉄も含まれている可能性が高く、それが惑星に降り注ぐかもしれないと報告している。雲の粒子は、0.1マイクロメートル以下であると推定している。著者らはまた、YSES-1 b の周りにケイ酸塩の円盤があることを初めて観測したことも報告している。これは、亜恒星伴星系外惑星では非常に珍しい観測結果である。この観測は、YSES-1 bが比較的新しく形成された惑星である可能性を示している。

この発見は、太陽系外惑星形成の初期段階と大気の進化に関する新たな洞察を与えるものである。

  • Article
  • Published: 10 June 2025

Hoch, K.K.W., Rowland, M., Petrus, S. et al. Silicate clouds and a circumplanetary disk in the YSES-1 exoplanet system. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09174-w
 

doi: 10.1038/s41586-025-09174-w

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