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気候変動:ハドソン湾の無氷期が長くなるとホッキョクグマ個体群の規模縮小につながる可能性がある

Communications Earth & Environment

2024年6月14日

Climate change: Longer ice-free periods may lead to smaller Hudson Bay polar bear population

Communications Earth & Environment

地球温暖化によってハドソン湾の無氷期が長くなり、そこに生息するホッキョクグマが狩りをする期間が短くなるという予測を示した新たな研究について報告する論文が、Communications Earth & Environmentに掲載される。論文の著者らは、気温の上昇が2.1℃を超えると、ハドソン湾の大部分で、ホッキョクグマの成体が生存できる最長絶食期間よりも無氷期の方が長くなる可能性があるという見方を示している。

カナダ北部沖の北極海に位置するハドソン湾は、海氷に覆われる季節には、約1700頭のホッキョクグマ個体群の生息地となる。ホッキョクグマは、ハドソン湾が氷で覆われる冬の間、海氷の上で生活し、好物のアザラシを狩猟する。そして春に氷が解けると、陸に上がり、夏の無氷期は食餌を取らずに、秋に海氷に戻る。ハドソン湾地域では、過去30年間に1℃以上気温が上昇し、その結果、無氷期が約120日から約150日に延びた。ハドソン湾に生息するホッキョクグマの狩猟は海氷に依存しているため、無氷期が長くなると、絶食期間中の生存率と次のアザラシ狩猟期の繁殖成功率の両方が低下する可能性がある。

今回、Julienne Stroeveらは、IPCCの第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)のモデルによる予測を解析し、既にホッキョクグマの個体数減少が記録されているハドソン湾西部地域と南部地域における無氷期の将来的な変化を評価した。ホッキョクグマは、183~218日間の無氷期であれば、安全に生き延びることができると考えられている。Stroeveらは、地球温暖化によってハドソン湾の西部と南部での気温上昇がそれぞれ2.1℃と2.6℃を超えれば、無氷期が183日を超える可能性があると推定した。また、Stroeveらは、春に起こる海氷の季節的融解が早期化する可能性が高いと推定している。このことで、通常11~1月に生まれる仔の保育期間が短くなる可能性があるため、クマの繁殖成功率が低下する可能性がある。

Stroeveらは、産業革命前からの地球温暖化を2℃以内に抑えられれば、ハドソン湾のホッキョクグマ個体群が生き残る可能性は非常に高いと強調している。

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シュプリンガー・ネイチャーは、国連の持続可能な開発目標と、学術論文誌や書籍に掲載されている関連情報や証拠の認知度を高めることに尽力しています。このプレスリリースに記載されている研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を、Climate Action)およびSDG 15(陸の豊かさを守ろう、Life On Land)に関係しています。詳細については、こちらを参照してください。(https://press.springernature.com/sdgs/24645444
 

doi: 10.1038/s43247-024-01430-7

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