天文学:通常と異なる継続時間の長いガンマ線バーストを調べる
Nature
2024年2月22日
Astronomy: Investigating an unusual long gamma-ray burst
通常と異なる継続時間の長いガンマ線バースト(GRB 230307A)の解析が行われ、通常は継続時間の長いバーストに関連しない2つの中性子星の衝突に関連したガンマ線バースト(GRB)であることが示された。このことを報告する論文が、今週、Natureに掲載される。今回の知見は、こうしたGRBの起源とその後の進化に関するこれまでの学説の正当性を裏付けている。
2023年3月7日に非常に明るく継続時間の長いGRB 230307AがNASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡に搭載された機器によって検出された。GRBは、2つの中性子星の合体によって生じると考えられている継続時間の短い(2秒未満の)バーストと、超新星現象(大質量星の崩壊)に関連した継続時間の長い(2秒以上の)バーストに分類されている。
今回、Yu-Han Yang、Eleonora Trojaらは、GRB230307Aに関するハッブル宇宙望遠鏡の観測データと既に公開されているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データを解析し、バーストから2カ月後までの進化をモデル化した。これらの観測データから分かった熱特性は、これまでに報告された継続時間の短いGRBに関連したキロノバ現象の発生過程の熱特性と一致しており、GRB230307Aがランタノイド(周期表上の希土類元素)の放射性崩壊をエネルギー源とする現象であることが判明した。これにより、キロノバによって鉄より重い元素が生成されるが、超新星現象によって生成されることはないというこれまでの学説の正当性が裏付けられた。GRB230307Aのように、中性子星の合体によって継続時間の長いバーストが発生する理由は分かっていない。
doi: 10.1038/s41586-023-06979-5
注目の論文
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月7日
考古学:デジタル地図によりローマ帝国の道路網が10万キロメートル増えるScientific Data
-
11月5日
気候:極端な強風がタービンの限界を超えて動かす可能性があるNature Communications
-
11月4日
地球科学:南極氷河の急速な後退Nature Geoscience
-
10月30日
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
-
10月30日
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
