気候変動:都市緑化は都市部で加速する地表温暖化の緩和に役立つ
Communications Earth & Environment
2022年9月30日
Climate change: Urban greening can help reduce accelerated surface warming in cities
世界の都市では、平均で10年当たり0.5℃の気温上昇が起こっており、これは農村地域より29%速いペースであることを報告する論文が、Communications Earth & Environment に掲載される。この研究知見は、気候変動と都市の拡大が都市部の地表温暖化を加速していることを示唆している。都市部での植樹と植栽(都市緑化とも呼ばれる)が、ヨーロッパの都市で10年当たり約0.13℃の地表温暖化を相殺すると報告されている。
都市の住民は、都市のヒートアイランド現象(都市の気温が周辺の農村部より高くなる現象)のために熱波現象時の熱への曝露が一般住民よりも大きい。都市部では、気候変動と人口増加によって地表でのヒートアイランド効果が大きくなると予測されているが、将来の人間の熱への曝露に関する現在の推定値の多くは、都市部と農村部の地表温度の上昇速度が等しいという前提に立っている。都市緑化は、地表温暖化を緩和すると示唆されているが、都市部の地表でのヒートアイランド効果の加速を抑制できるかどうかは明らかでない。
今回、Wenfeng Zhanたちは、2002~2021年に世界の2000以上の都市の地表温度の衛星観測データを分析し、バックグラウンド地域(農村部)の地表温度と比較した。この分析には、アブジャ(ナイジェリア)、フェニックス(米国)、ロンドン(英国)、サンパウロ(ブラジル)、北京(中国)、モスクワ(ロシア)などの非常に大きな「メガシティー(巨大都市)」が含まれている。Zhanたちの推定結果によれば、都市部の気温上昇のペースが農村部よりも29%速く、巨大都市の上昇ペースがさらに速くなっており、全体的傾向としては、気候変動が都市部の地表温暖化に最も大きく寄与し、平均すると地表温度が10年当たり0.30℃上昇しており、中国とインドでは、各都市で観測された地表温度上昇の0.23℃以上の原因が都市の拡大だとされる。一方、Zhanたちは、ヨーロッパの都市における都市緑化によって10年当たり約0.13℃の地表温暖化が相殺されることを明らかにした。このことは、都市部での植栽によって地表温暖化のペースを鈍化させる可能性があることを示している。例えば、シカゴ(米国)で都市緑化が強化された結果、地表温暖化の速度が、10年当たり約0.084℃低下したことが判明した。
Zhanたちは、都市部での植栽が、都市部の地表温暖化を緩和し、熱波時の人間の熱への曝露を低減する有効な戦略だと考えている。
doi: 10.1038/s43247-022-00539-x
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