古生物学:遠縁の関係にある2種の穴掘り哺乳類が発見された
Nature
2021年4月8日
Palaeontology: Distantly related diggers discovered
中国北東部の前期白亜紀の熱河生物相から発見された、哺乳類の祖先である哺乳形類の2種の化石について記述した論文が、Nature に掲載される。これら2種は、遠縁の関係にあるが、収斂進化を示す穴掘り生活様式の特徴を複数有しており、この生態系で初めて発見されたスクラッチディガー(引っかき掘りをする穿孔哺乳類)となった。
今回、Jin Meng、Fangyuan Maoたちの研究チームは、前期白亜紀(約1億4500万~1億年前)の、遠縁の関係にある2種の動物の化石について報告している。第1の化石は、遼寧省の九仏堂累層から出土したトリティロドン類(哺乳類様爬虫類)の一種で、熱河生物相では初めて特定された。その体長は316ミリメートルで、Fosiomanus sinensisと命名された。第2の化石は、正三錐歯目(有胎盤哺乳類と有袋類の現生種と遠縁の関係にある動物種)の一種で、熱河生物相では一般的に見られ、Jueconodon cheniと命名された。この動物種は、遼寧省の義県累層で発見され、体長は183ミリメートルでFosiomanusより小さかった。
穴を掘る生活様式に適応した哺乳類は、穴掘りのための特殊な特徴があることで識別される。Mengたちは、FosiomanusとJueconodonが、遠縁の関係にあるにもかかわらず、こうした特殊な特徴を共に持っていたことを見いだした。例えば、この2種は、共に前肢より後肢が短く、短い尾と強靭な爪のある幅広の前肢を持っており、胸椎の数も多かった。Mengたちは、この2種に共通する特徴は、同じような選択圧の下で独立に進化したと結論付けている。
doi: 10.1038/s41586-021-03433-2
注目の論文
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月7日
考古学:デジタル地図によりローマ帝国の道路網が10万キロメートル増えるScientific Data
-
11月5日
気候:極端な強風がタービンの限界を超えて動かす可能性があるNature Communications
-
11月4日
地球科学:南極氷河の急速な後退Nature Geoscience
-
10月30日
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
-
10月30日
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
