注目の論文
気候:南極大陸の棚氷は融解による水圧破砕の恐れがある
Nature
2020年8月27日
Climate: Antarctic ice shelves at risk of melt-induced hydrofracture
南極の棚氷の約60%が、氷の融解によって誘発される破砕を起こしやすい可能性があることを示唆する論文が、今週、Nature に掲載される。今回の知見は、今後、大気の温暖化が進むと、この過程によって南極氷床の減少が加速する可能性を示唆している。
南極大陸の棚氷は、海上に張り出した氷床の延長部分であり、氷の海上への流出を控え壁(バットレス)効果によって遅らせることに役立っている。こうした棚氷が崩壊すると、氷床の減少と海水準の上昇が加速する可能性がある。水圧破砕(氷の融解水が氷の割れ目に入り込んで割れ目が広がること)は、棚氷の崩壊に関連すると考えられてきた。しかし、南極大陸の棚氷全体で、発生可能性のある水圧破砕の程度は十分に把握されていない。
今回、Ching-Yao Laiたちの研究チームは、人工衛星からの遠隔観測、理論的モデリング、深層学習法を組み合わせて、南極全域の地表面の割れ目をマッピングし、氷の融解水が入り込んだ場合に不安定化する可能性のある地域を予測した。Laiたちは、棚氷の約60%が控え壁として上流側の氷を支える一方で、水圧破砕が起きやすくなっていることを明らかにした上で、これらの地域で、表層融解水が増えると、水圧破砕の発生につながる可能性があるという考えを示している。
doi: 10.1038/s41586-020-2627-8
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