注目の論文
気候科学:海洋の温暖化で海水準の変動が大きくなる
Communications Earth & Environment
2020年8月21日
Climate science: More variable sea levels in a warmer ocean
海洋上層の水温が21世紀末までに摂氏2度上昇すると、海洋温度の変動が大きくなるかどうかにかかわらず、世界各地で季節単位から年単位の時間スケールにおける海水準の変動が、4~10%増大する可能性のあることを示唆する論文が、Communications Earth & Environment に掲載される。
平均海水準の上昇に加えて、沿岸部の海水準の変動が増大しており、すでに洪水と浸食が発生している。海水準上昇の一因は、海水温の上昇による海水の膨張だ。この熱膨張は、海水温の上昇によって加速する。そのため、海水温の季節変動が例えば摂氏5度に達する場合には、今後の海洋温暖化によって海水量の季節変動がもっと大きくなる。
今回、Matthew Widlanskyたちの研究チームは、数々の気候モデルシミュレーションを用いて、21世紀末の海洋温度による海水の熱膨張の加速が世界各地に及ぼす影響を計算した。その結果、海水準の変動の増大傾向は、ジャカルタ、ムンバイ、マニラ、ラゴスでは3~4%、ニューヨーク市では8%であることが分かった。変動は、多くの沿岸域、特に海洋温暖化がより深い水域に達すると予想される高緯度域で大きい。
doi: 10.1038/s43247-020-0008-8
注目の論文
-
12月5日
気候:GenCastは既存の気象予報を凌駕するNature
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature