注目の論文
気候科学:人為起源のメタン排出量の再計算
Nature
2020年2月20日
Climate science: Recalculating human-generated methane emissions
産業化以前の時代の化石燃料によるメタン排出量(自然の地質学的発生源からの漏出)が、これまで考えられていたよりはるかに少なかったとする研究結果を報告する論文が、今週Nature に掲載される。この結果は、現代の人為起源のメタン排出量が、これまでの学説に示された量よりもかなり多いことを暗示している。
メタンは、強力な温室効果ガスであり、メタン排出量は、地球温暖化全体で重要な役割を果たしている。化石燃料の抽出と利用は、メタンの最大級の排出源になっている。しかし、メタン排出量の総量に対するメタンのさまざまな排出源の正確な寄与については、人為起源の排出源であれ、自然の地質学的発生源であれ、解明ができていない。
今回、Benjamin Hmielたちの研究チームは、1750年から2013年までのグリーンランドの氷床コアの観測結果とこれまでに発表された南極の観測データを用いて、自然の地質学的発生源から大気中に排出されたメタンが、年間約1.6テラグラム(1兆6000億グラム)であり、最大で年間5.4テラグラムであったことを明らかにした。これは、排出量の計算に現在用いられている推定値よりも1桁少ない。この新知見は、人間活動による化石燃料の排出量が、年間約38~58テラグラム、つまり約25~40%過小評価されていることを示している。
Hmielたちは、この新知見が、大気と気候に対する人間の影響を強く示しており、気候変動の影響を緩和するために標的を定めて排出削減を行う戦略の策定に役立つという見解を示している。
doi: 10.1038/s41586-020-1991-8
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