注目の論文

【環境】米国東海岸で発生する洪水の閾値を定める

Nature Communications

2020年2月5日

Environment: Thresholds for flooding on the US east coast assessed

ソーシャルメディアの投稿数で示されるremarkability(どの程度話題になるか)を用いて、米国東海岸沿いの郡(county)ごとの洪水の閾値を推定できることを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。米国のマイアミ、ニューヨーク、ボストンなどの主要都市を含む22の郡では、既存の洪水閾値を下回る潮位でも洪水が発生する可能性のあることが今回の研究で示唆されている。

洪水の程度は、狭い地域の中でも大きく変動することがあるため、洪水の影響を判断することは難しい。洪水の程度に関する局地的な情報は重要だが、米国では潮位観測施設の数が少なく、これらの観測施設で洪水の深刻度が標準化されていない。

今回、Frances MooreとNick Obradovichは、ソーシャルメディア上の洪水関連の投稿数に基づいた洪水現象のremarkabilityの尺度を開発した。今回の研究では、2014年3月から2016年11月の間に237郡から発信されたツイート(47万3000件)に由来するデータと検潮所の毎日の潮位データを併用することで、米国内の大西洋とメキシコ湾に面した各郡における洪水の閾値が推定された。その結果、注目すべき洪水の発生頻度が検潮器の閾値で示される発生頻度より高い22郡が特定され、そのうちの約4分の1が、テキサス州のメキシコ湾岸沿いの郡であることが明らかになった。

MooreとObradovichは、このremarkabilityに基づく洪水の閾値が、ソーシャルメディア利用者を用いて推定されたものであり、こうした利用者が該当地域の住民の一部にすぎない点を指摘した上で、洪水の発生頻度が高くなると、洪水現象のremarkabilityが低下し、ソーシャルメディア上での反応が弱くなる可能性があるという見方を示している。これに対して現在の標準的な方法では、洪水に遭遇した住民集団の過小評価が起こる可能性があると著者たちは結論付けている。

doi: 10.1038/s41467-019-13935-3

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