【生態学】森に棲むコウモリは山火事から恩恵を受けているかもしれない
Scientific Reports
2019年12月6日
Ecology: Wildfire may benefit forest bats
シエラネバダ山脈で発生する山火事に対して、コウモリはさまざまな応答を示しているが、積極的な応答が多いことを示唆する論文が掲載される。この知見は、火災が起こりやすい森林地域におけるコウモリの保全と管理の戦略を改善する上で役立つ可能性がある。
山火事は、生物多様性と生息地の質に影響を及ぼす重要な生態学的過程である。火災によって生じる生息地の不均一性(pyrodiversityと呼ばれることが多い)は、コウモリの採餌と就塒(ねぐらに就くこと)に影響を及ぼし、生息地の質にとって重要な駆動要因になっている。しかし、森林景観において山火事がコウモリの発生と多様性に及ぼす影響については十分な研究が行われておらず、火災が起こりやすい生態系でのコウモリの保全と管理に関して数々の課題が生じている。
今回、Zachary Steelたちの研究グループは、山火事の規模とpyrodiversityが、シエラネバダ山脈の森林に生息するコウモリの群集に対してどのような影響を及ぼすのかを調べるため、2014~2017年のコウモリの個体数をモニタリングした。この地域でよく見られるコウモリ種17種のうち、6種(オオクビワコウモリ、ミミナガホオヒゲコウモリ、メキシコオヒキコウモリなど)の占有率が、山火事の規模に比例して上昇し、ホソゲホオヒゲコウモリの占有率だけが低下した。また、pyrodiversityが大きい地域では、3種の占有率が上昇した。検出された種の総数(種の豊富さ)は、火災を免れた地域で8種だったものが、焼損規模が中程度以上の地域の方が多く、11種だった。
以上の結果から、コウモリが最大の恩恵を得るのは、山火事の規模が中程度で、焼損規模に多様性が認められる場合であることが示唆された。Steelたちは、コウモリは山火事の増加に対して、ある程度の回復力を持っており、この傾向は気候変動とともに継続することが予想されると考えている。
doi: 10.1038/s41598-019-52875-2
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