オマキザルは3000年前から石器を製作していた
Nature Ecology & Evolution
2019年6月25日
Capuchin monkeys have been making stone tools for 3,000 years
野生のヒゲオマキザル(Sapajus libidinosus)が3000年以上前から石器を製作しており、その技法が時と共に変化してきたことを示唆する論文が、今週掲載される。
サルやチンパンジー、ラッコは、いずれも野生で石を使って木の実や貝の殻を割ることが知られている。しかしこれまでのところ、ヒト以外の動物で考古学的記録が知られているのはチンパンジーだけだった。
今回Tomos Proffittたちは、ブラジルでオマキザルの考古学的遺跡を発掘した。現在、そこではサルが石を使ってカシューナッツの殻を割っている。放射性炭素年代測定と石器の分析の結果、オマキザルは3000年(すなわち450世代)にわたり、石を使って木の実を割ってきた可能性が明らかになった。また、オマキザルが時と共にその方法を変化させてきたことも示唆された。3000年の歴史を持つこの遺跡の最初期には、オマキザルは現在よりも小型で軽量な石器を使用していた。2500~300年前までは、オマキザルは食物を加工処理するために、より大きくて重い石器を使用していた。そして最近では再びわずかに小型の石器を使用するようになり、これは現在のカシューナッツ割りと関係している。
Proffittたちは、使われる石器の変化を説明する仮説が複数考えられ、オマキザルの群れによって使う石器が異なっていた可能性や、カシューナッツがより多く得られるようになる以前は、異なる食物の加工処理に異なるサイズの石器が必要であった可能性があることを示唆している。
doi: 10.1038/s41559-019-0904-4
注目の論文
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月7日
考古学:デジタル地図によりローマ帝国の道路網が10万キロメートル増えるScientific Data
-
11月5日
気候:極端な強風がタービンの限界を超えて動かす可能性があるNature Communications
-
11月4日
地球科学:南極氷河の急速な後退Nature Geoscience
-
10月30日
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
-
10月30日
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
