ギザギザしたエウロパは宇宙船の着陸を困難にする
Nature Geoscience
2018年10月9日
Jagged Europa may complicate spacecraft landings
木星の氷衛星エウロパの赤道地域は数メートルの高さがある氷の刃で覆われている可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。このようなギザギザの地形は、将来この衛星への着陸を試みる宇宙探査計画の障害となるだろう。
エウロパの表面下にある海は、地球外生命を探索する上で有望な目標となっている。しかし、この氷で覆われた衛星に探査機が安全に着陸するのがどれほど容易かはよく分かっていない。エウロパの表面は溝や嶺によって分断されており、このような特徴的地形の間の氷がどの程度平坦であるかを特定するのに十分な高解像度の画像は得られていない。アンデス山脈などの地球上の極端に寒冷で乾燥した条件では、太陽光線によって氷と雪の一部が昇華(最初に融解することなく水蒸気となる)し、「ペニテンテス」と呼ばれる独特の尖った刃状の構造が形成される。ペニテンテスが存在する証拠は冥王星でも観察されており、このようなギザギザの地形は、エウロパを含む氷の世界では一般的である可能性を示唆している。
Daniel Hobleyたちは今回、エウロパ表面における水氷の昇華速度を計算し、衝突事象や荷電粒子衝撃などの衛星表面に作用する他の浸食過程と比較した。その結果、昇華はより粗い表面を作るが、他の過程は地表を平坦にする効果があることが分かった。Hobleyたちは、赤道地域では昇華が主要な浸食過程であり、ペニテンテスを形成するために十分であることを明らかにした。彼らはまた、時間とともに最大15メートルのペニテントが約7メートルの間隔で形成される可能性があり、将来エウロパへの探査を計画する際に考慮すべき危険な地形が作り出されていると示唆している。
doi: 10.1038/s41561-018-0235-0
注目の論文
-
9月9日
気候変動:気温の上昇が添加糖の消費量の増加と関連しているNature Climate Change
-
9月9日
生態学:海洋の温暖化によって脅かされる重要な酸素生産性海洋微生物Nature Microbiology
-
9月4日
気候:地球の炭素貯蔵能力における世界的な限界の確立Nature
-
9月3日
環境:アマゾンの気候変容の鍵となる森林伐採Nature Communications
-
9月3日
気候変動:歴史的データが示す中国における雹嵐発生日数の増加Nature Communications
-
8月28日
環境科学:コンゴ民主共和国を侵食する都市部のガリーNature