生息環境への寛容性が翼竜類を頂点に押し上げた
Nature Ecology & Evolution
2018年8月14日
Territorial tolerance put pterosaurs on top
北米の後期三畳紀の地層(約2億1000万~2億100万年前)から出土した新属新種の翼竜について報告する論文が、今週掲載される。その標本が発見されたのは米国ユタ州北東部であり、初期の翼竜類がさまざまな環境に生息可能であったこと、そしてその分布が広域にわたることが指摘された。
翼竜類は、動力飛行を行う最古の脊椎動物として知られる。初めて出現したのは後期三畳紀であり、白亜紀末まで1億6000万年以上にわたって繁栄した。三畳紀の翼竜類の化石はまれで、1点を除く全ての標本は、アルプスの海洋堆積物から出土している。
今回Brooks Brittたちは、極めて良好な状態の三畳紀翼竜類の化石を発見した。Caelestiventus hanseniと命名されたその標本は、他の既知の初期翼竜類と比較して大型で、翼開長は1.5メートルである。また、Brittたちは下顎に突出した縁があることを見いだしており、このことからC. hanseniが現代のペリカンのような喉袋を有していた可能性が示唆される。
三畳紀の最後期には、北米のこの地域は現在よりも高温で乾燥していたことから、C. hanseniが極端な砂漠条件に対処可能であったと考えられる。この年代の翼竜分類群として知られる他の標本は、現在のヨーロッパおよびグリーンランドの海岸環境で見つかっており、翼竜類がその初期進化から幅広い環境耐性を備えていたことが示された。この柔軟性は、翼竜類が三畳紀末の絶滅事象(当時の生息種の半分が死滅した)を生き抜くのに役立ったと考えられる。
doi: 10.1038/s41559-018-0627-y
注目の論文
-
7月18日
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
7月17日
惑星科学:惑星系の誕生の瞬間をとらえるNature
-
7月17日
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature
-
7月10日
環境:大西洋全域で高濃度のナノプラスチック粒子が検出されるNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature