注目の論文
高木の寿命は病害抵抗性遺伝子が延ばした
Nature Plants
2018年6月19日
Tree lifetimes prolonged by disease-resistance genes
高木の寿命が長いのは、病害抵抗性遺伝子の広がりによって説明される可能性がある示した論文が今週掲載される。この知見は、ナラなど一部の高木が、長期間にわたりさまざまな脅威にさらされながら、どうやって数世紀を生き抜くことができるのかを説明するのに役立つ。
アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸の各地に450種が分布するナラ類は、その遍在性と長寿ゆえに、世界中で文化的な象徴となってきた。また、この高木は人間社会に、先史時代以来、食物や住居などの極めて価値あるサービスを供給してきた。
Christophe Plomionたちは、ヨーロッパナラのゲノム塩基配列を解読して、アセンブリーとアノテーションを行った。そして、このヨーロッパナラのゲノムを、木本植物・草本植物の両方を含む他の植物の既存の全ゲノム塩基配列と比較したところ、ヨーロッパナラが最近になって爆発的な縦列遺伝子重複を経験したことが明らかになった。この出来事は、ヨーロッパナラの全遺伝子ファミリーの拡大の73%に寄与したとみられる。拡大したこれらの遺伝子ファミリーの大部分は病害抵抗性遺伝子と関係し、正の選択の特徴を示している。
しかし、ヨーロッパナラは例外ではない。Plomionたちは、草本種と比べると、他のさまざまな高木のゲノムにも同様の病害抵抗性遺伝子が広がっていることを見いだしている。Plomionたちは、この並列的な遺伝子の広がりは、高木の長寿を確かなものとする上で免疫系が極めて重要な役割を果たしていることを示唆していると結論付けている。
doi: 10.1038/s41477-018-0172-3
注目の論文
-
12月11日
気候変動:世界的な観光産業による二酸化炭素排出量は増加し、不平等であるNature Communications
-
12月10日
Nature's 10:2024年の科学に影響を与えた10人Nature
-
12月5日
気候:GenCastは既存の気象予報を凌駕するNature
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature