注目の論文
ホモ・サピエンスへの道を指し示すアラビアの指の化石
Nature Ecology & Evolution
2018年4月10日
Fossil finger points the way to Homo sapiens in Arabia
最古のホモ・サピエンス(Homo sapiens)の化石がアフリカ大陸やレバント地方ではなくアラビア砂漠で発掘され、その年代を直接測定したことを報告する論文が、今週掲載される。
Huw Groucutt、Michael Petragliaたちは、現在のサウジアラビアのアルウスタで出土した指の骨の化石を紹介している。この指の化石は、骨の放射性年代測定法による解析から、8万5000年以上前のものと推定されている。このような人骨の直接的な年代測定は、周囲の堆積物や関連する試料のみに基づく年代測定と比べると信頼性が高いが、常に可能とは限らない。今回のアルウスタの指の骨に関しては、電子スピン共鳴法や光刺激ルミネッセンス法を用いて周囲の動物の骨や堆積物も解析され、年代が裏付けられた。
その指が埋もれた当時、アルウスタ近辺の地域は、多湿なモンスーン性の気候であった。著者たちは、今回明らかになった「緑のアラビア」への初期の人類流入に基づいて、アフリカを出た人類は夏季の多雨に支えられて広く分散し、冬季の降雨によって維持されていたレバント地方の疎林にとどまらず、アルウスタのようなアラビア半島内陸部の半乾燥草原にも居住するようになった可能性があると結論付けている。そして、この新しい環境への適応がホモ・サピエンスの世界的繁栄に至る道筋の初期段階であった可能性が示唆された。
doi: 10.1038/s41559-018-0518-2
注目の論文
-
12月4日
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
11月28日
気候変動:古代インダス文明の崩壊は深刻な干ばつと関連しているCommunications Earth & Environment
-
11月27日
惑星科学:火星における雷の証拠Nature
-
11月25日
天文学:沸騰する海と地殻変動の圧力によって氷の衛星が再形成されるNature
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月7日
考古学:デジタル地図によりローマ帝国の道路網が10万キロメートル増えるScientific Data
