宇宙空間で発見されたクロロメタン
Nature Astronomy
2017年10月3日
Chloromethane discovered in space
宇宙空間における有機ハロゲン分子が、初めて地球外の2つの別々な場所で同時に発見されたことが、今週報告される。今回、67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星と、連星系形成の初期段階のガスと塵の質量を2カ所に集積させている若い連星系の原始星周辺から、クロロメタン(CH3Cl)が見つかった。
およそ200種の化学物質が宇宙空間で確認されているが、Edith Fayolleらのクロロメタンの発見は、ハロゲンと有機のメチル基を結び付ける最初の分子であることを意味している。それは3年前に彗星67Pに到達したロゼッタ探査機に搭載されたロジーナ(ROSINA)観測機器によって検出された。著者は67Pのような彗星が衝突によって初期の地球に最大で50ギガトンの塩素を供給した可能性があることを計算しており、彗星におけるクロロメタンの発見は地球の化学に影響を及ぼす可能性がある。アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いた、若い原始星系(IRAS 16293-2422)におけるクロロメタンの検出は、クロロメタンが惑星系より前の状況で、そして彗星に取り込まれたときに効果的に形成され、惑星系の形成を生き延びることができることを示唆する。著者らは、別の有機ハロゲンであるフッ化メタン(CH3F)もIRAS 16293-2422に存在する可能性のあることを発見した。
系外惑星に関するこれまでの研究は、クロロメタンが地球の熱帯植物や泥炭で放出されるように生物指標化合物であると考えてきたが、この研究で示された発見はクロロメタンが非生物的にも形成され得ることを示している。
doi: 10.1038/s41550-017-0237-7
注目の論文
-
9月9日
気候変動:気温の上昇が添加糖の消費量の増加と関連しているNature Climate Change
-
9月9日
生態学:海洋の温暖化によって脅かされる重要な酸素生産性海洋微生物Nature Microbiology
-
9月4日
気候:地球の炭素貯蔵能力における世界的な限界の確立Nature
-
9月3日
環境:アマゾンの気候変容の鍵となる森林伐採Nature Communications
-
9月3日
気候変動:歴史的データが示す中国における雹嵐発生日数の増加Nature Communications
-
8月28日
環境科学:コンゴ民主共和国を侵食する都市部のガリーNature