【気候科学】米国西部の山地における積雪量の減少
Nature Communications
2017年4月19日
Climate sciences: Snow loss in the western United States
最近になって米国西部の山地における積雪量が減少しているのは、自然変動と人為起源の温暖化が組み合わさった結果であることを報告する論文が、今週掲載される。「対策を講じない」気候シナリオによる将来予測では、今後30年間に山地における平均積雪量がさらに約30%減少することが示唆されている。
米国西部の山地における積雪量は、この数十年間に減少してきており、このことは北米大陸での温暖化と結び付けられてきた。しかし、この積雪量の減少に対する人間の活動と自然変動の寄与については正確に解明されていない。
今回、John Fyfeたちの研究グループは、2つの異なった構成の気候モデル(自然変動のみに影響される第1の気候モデルと自然変動と人間の活動に影響される第2の気候モデル)を並列的に用いて、過去の積雪量の推移のシミュレーションを行った。これらのモデルは、気候に対する自然の影響と人為的影響を考慮に入れた場合に1982~2010年の積雪量の観測値を正確に再現できたが、自然変動の影響だけを考慮に入れた場合には正確な再現ができなかった。「対策を講じない」気候シナリオによる自然強制力と人為的強制力をもとに将来予測をしたところ、積雪量の変化が3%の増加から最大60%の減少という幅があり、平均すると積雪量が2040年に30%減少するという結果になった。
米国西部の山地における積雪は、重要な水源となっている。積雪量の変化を解明すれば、政策当局者が有効な計画を策定し、同地域の水力発電、都市部と農業部門に対する影響を最小限に抑える上で役立つと考えられる。
doi: 10.1038/ncomms14996
注目の論文
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが月の裏側の火山活動の年代を特定Nature