注目の論文
極度の寒冷化を妨ぐフィードバックシステム
Nature Geoscience
2017年3月14日
Feedback system ensures winter is NOT coming
過去80万年間にわたり、同定されていない制御メカニズムによって大気中のCO2濃度が極端な寒冷化の引き金となるレベル以下になることが妨げられてきたという報告が、今週のオンライン版に掲載される。また、今回の研究では、上記メカニズムが生物圏を含んでいる可能性についても示唆された。CO2濃度が低い場合、植物とプランクトンは成長と炭素摂取で競合するためだ。
大気中のCO2濃度は、氷期と間氷期の間に最大100ppmv(体積百万分率)変化している。この変動の背後にある正確な過程はよく分かっていないが、植物と海洋プランクトンによる炭素摂取の変化と、その後の炭素の土壌と深海への輸送は重要な役割を果たしていると考えられている。
Eric GalbraithとSarah Egglestonは、(氷コア中に記録された)大気中のCO2濃度は過去80万年間にほとんどの期間で190ppmv以上の近辺で推移しているが、それ以下になったことはほとんど無いことを見つけた。従って、彼らは1つかそれ以上のフィードバックがCO2濃度をこのレベルで安定させ、暴走的な寒冷化を妨げていると論じている。彼らは、生物が生息可能な温度を維持しているこういったフィードバックの少なくとも1つが生物圏であると示唆している。極端に低いCO2レベルでは植物や植物プランクトンの光合成は限定されるので、これらの生物の成長が抑制されると、大気から土壌や深海へ輸送される炭素の量が減少し、CO2濃度がそれ以上減少することを妨げ、極端な寒冷化が起きることを妨げるからである。
doi: 10.1038/ngeo2914
注目の論文
-
12月10日
Nature's 10:2024年の科学に影響を与えた10人Nature
-
12月5日
気候:GenCastは既存の気象予報を凌駕するNature
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications