食虫植物の進化の謎が明らかにされた
Nature Ecology & Evolution
2017年2月7日
Pitcher perfect way to develop carnivory
オーストラリアの嚢状葉植物の全ゲノム塩基配列が今週のオンライン版で発表される。これは、食虫植物が獲物を消化する能力をどのように進化させたのかを明らかにするものである。
オーストラリアの嚢状葉植物フクロユキノシタ(Cephalotus follicularis)は、獲物の動物を消化することができる液体で満たされた捕虫葉と非捕虫葉(普通葉)の両方を作る。このことは、その両者を比較することによって食虫性がどのように発達したのかが分かることを意味している。福島 健児(ふくしま けんじ)、Victor Albert、李 帥成(Shuaicheng Li)、長谷部 光泰(はせべ みつやす)たちは、C. follicularisのゲノム塩基配列を解読し、両タイプの葉の全ゲノム的な発現パターンを比較することにより、獲物の誘引や捕獲、消化など、食虫植物の独特の適応の一部を明らかにした。
次に研究チームは、C. follicularisの捕虫葉の消化液を、他の近縁でない食虫植物3種(アデレーモウセンゴケ、フィリピンのウツボカズラNepenthes alata、およびムラサキヘイシソウ)の消化液と比較した。その結果、他の植物ではストレス応答に関係している遺伝子が、調べた4種の食虫植物全てにおいて消化液のタンパク質として働くように転用されていることが分かった。4種の植物全てでタンパク質およびアミノ酸の同じ組み合わせが消化能力につながっており、食虫性がそれぞれの種で独立して複数回にわたって進化したことが指摘された。
doi: 10.1038/s41559-016-0059
注目の論文
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが月の裏側の火山活動の年代を特定Nature