注目の論文
亜熱帯の降水量減少予測の再考
Nature Climate Change
2016年11月15日
Rethinking projected declines in sub-tropical rainfall
気候変動の結果として予測されている亜熱帯での降水量減少の大部分は、陸上ではなく、海上で起こるという結論を示した論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究は、亜熱帯の乾燥化に関するこれまでの理解に異論を唱えるものであり、亜熱帯の住民に対する乾燥化の影響がこれまで考えられていたほど厳しくない可能性を示唆している。
亜熱帯の降水量の変化は、地球温暖化に関連する2つの機構、つまり、亜熱帯域の大気中で増加した水分が域外へ輸送されるという機構と熱循環が極方向へ移動するという機構が原因となっているとこれまで考えられていた。今回、Jie HeとBrian Sodenは、気候モデルのアンサンブルを用いて、降水量の減少が地球温暖化より早く起こることを明らかにして、第3の機構が作用しているはずだとする見解を示している。また、HeとSodenは、直接的な局所的温暖化による昇温が海上より陸上で早く起こっており、それに伴う大気動態の変化は、陸上ではなく海上での降水量減少を促進していることも発見した。
同時掲載のRobin ChadwickのNews & Views記事では、「…亜熱帯の陸域の大部分で乾燥化が予測されていない理由に関する解明が進み、信頼性が増すことは、亜熱帯での気候変動適応政策の利害関係者の役に立つと考えられる」と指摘されている。
doi: 10.1038/nclimate3157
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