注目の論文
太古の虫害が大量絶滅に関する洞察をもたらす
Nature Ecology & Evolution
2016年11月8日
Ancient insect bites provide mass extinction insight
恐竜を滅ぼした大量絶滅事象からの生態系の回復が、南半球では北半球の2倍の速さで進んだことを、化石化した植物の葉に認められる虫害の分析結果が明らかにしている。創刊コンテンツの中の1編として今週オンラインで掲載される論文の知見は、大量絶滅の生態学的作用、および世界各地に及んださまざまな影響に関する新たな洞察をもたらす。
植物と草食性昆虫との相互作用は、陸上食物網の重要な構成要素である。メキシコ・チクシュルーブでの約6600万年前の大隕石衝突によって白亜期末の絶滅事象が引き起こされたが、北米ではその相互作用の回復に900万年を要したことが過去の研究で明らかにされている。しかし、南半球ではその絶滅事象がそれほど過酷なものではなかった可能性があり、北半球で絶滅に至った種にとっては南半球が安全地帯になったのではないかと示唆されている。
Michael Donovanたちは、絶滅事象の前後の時期を代表するアルゼンチン・パタゴニアの発掘現場を対象として、昆虫が葉に与えた損傷の多様性を調べた。その結果、レフュジア仮説とは裏腹に、個々の昆虫種が生き延びたことを示す証拠は認められず、南米の絶滅事象が北米と同等に過酷であったことが分かった。しかし、昆虫・植物間の相互作用の多様性は(北米の900万年と比較して)わずか400万年で完全に回復しており、南米の生態系の回復がはるかに迅速であったことも明らかにされた。
doi: 10.1038/s41559-016-0012
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