注目の論文
ネパール地震:ヒマラヤの部分的な応力解放
Nature Geoscience
2015年8月7日
The Nepal earthquake: Partial unzipping of the Himalaya
大きな被害をもたらしたネパール地震はヒマラヤ逆断層帯主要部のごく一部の応力を解放したのみであるという報告が、今週掲載される。この研究は、ヒマラヤ逆断層帯主要部の西側は将来大地震を起こす可能性があるので注意深く監視する必要があることを示唆している。
2015年4月25日にマグニチュード7.8の地震がネパール中部を襲い、死者は9000人以上にのぼり村全体を壊滅させた。この地震は、ヒマラヤ逆断層帯主要部(過去にも大地震を引き起こしてきた断層)で起きたと考えられている。この断層はいくつかの場所で固着し応力を蓄積して、大地震により滑りを引き起こす可能性があることが知られていた。
Jean-Philippe Avouacたちは、地震学的データと人工衛星のデータを用いて2015年4月の地震の進化を再現した。著者たちは地震がカトマンズ北西部で始まり、街の下まで東側に140km伝播したが地表には達しなかったことを発見した。この地震は、ヒマラヤ逆断層帯主要部固着域の下端の応力を解放した。しかしながら、断層西部の部分は破壊しておらず固着したままである。さらに、地震は応力を西部の地殻浅部へと伝達した可能性があり、この地域で将来破壊が起きることを助長している可能性がある。
doi: 10.1038/ngeo2518
注目の論文
-
7月18日
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
7月17日
惑星科学:惑星系の誕生の瞬間をとらえるNature
-
7月17日
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature
-
7月10日
環境:大西洋全域で高濃度のナノプラスチック粒子が検出されるNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature