注目の論文
がんの化学療法が逆効果
Nature Medicine
2012年8月6日
Cancer chemotherapy backfires
化学療法が正常な組織に損傷を与えると、その組織から残った腫瘍細胞の増殖を持続させる新しい因子が分泌され、これが治療に対する抵抗性につながることが明らかになった。
Peter Nelsonたちが効果について調べたのは、DNAに損傷を引き起こすタイプの化学療法で、前立腺腫瘍環境中に見られる正常な繊維芽細胞に炎症応答を誘発する。この正常組織で起こる化学療法に対する反応として、繊維芽細胞からWnt16Bというタンパク質の分泌が促進され、これが周辺の腫瘍細胞に取り込まれる。Wnt16Bが発癌性の情報伝達経路の引き金を引き、がん細胞の生存を助け、化学療法への反応を抑える。
さらに、乳がん、卵巣がん、前立腺がん患者の腫瘍周辺の正常組織で、化学療法後にWnt16Bが増加していることも明らかになり、治療への反応性に、腫瘍微小環境の情報伝達経路が重要な役割を果たすことが裏付けられた。
doi: 10.1038/nm.2890
注目の論文
-
11月28日
科学コミュニティー:障害のある博士号取得者は米国の学術界で低賃金であり過小評価されているNature Human Behaviour
-
11月22日
公衆衛生:一般用医薬品の売り上げデータを利用した疾病サーベイランスNature Communications
-
11月15日
生物科学:胎盤の炎症は特定の成人期疾患に関連しているかもしれないNature Communications
-
11月13日
公衆衛生:スクリーンに向かう時間は若者の教育や健康上の転帰に見られるわずかな差と関連するNature Human Behaviour
-
11月9日
医学:構造的に修飾された抗真菌薬はマウスに対する毒性が低下したNature
-
11月1日
化学:化学者の直観を機械学習したモデルによる創薬支援Nature Communications