注目の論文
がんの化学療法が逆効果
Nature Medicine
2012年8月6日
Cancer chemotherapy backfires
化学療法が正常な組織に損傷を与えると、その組織から残った腫瘍細胞の増殖を持続させる新しい因子が分泌され、これが治療に対する抵抗性につながることが明らかになった。
Peter Nelsonたちが効果について調べたのは、DNAに損傷を引き起こすタイプの化学療法で、前立腺腫瘍環境中に見られる正常な繊維芽細胞に炎症応答を誘発する。この正常組織で起こる化学療法に対する反応として、繊維芽細胞からWnt16Bというタンパク質の分泌が促進され、これが周辺の腫瘍細胞に取り込まれる。Wnt16Bが発癌性の情報伝達経路の引き金を引き、がん細胞の生存を助け、化学療法への反応を抑える。
さらに、乳がん、卵巣がん、前立腺がん患者の腫瘍周辺の正常組織で、化学療法後にWnt16Bが増加していることも明らかになり、治療への反応性に、腫瘍微小環境の情報伝達経路が重要な役割を果たすことが裏付けられた。
doi: 10.1038/nm.2890
注目の論文
-
6月29日
COVID-19:英国の健康データに基づいたlong COVIDの症例評価Nature Communications
-
6月24日
スポーツ科学:首の歪みを測定する新しいウエアラブルセンサーで脳震盪の疑いを判定できるかもしれないScientific Reports
-
6月23日
科学コミュニティー:科学論文に著者と明記される女性研究者が男性研究者より少ないNature
-
6月17日
健康技術:スマホを利用した費用対効果の高い中耳機能検査法の開発Communications Medicine
-
6月16日
運動によって誘導される分子が食欲を抑制するNature
-
6月16日
がん:がんにおけるゲノムの構造変異の特徴Nature