【疾患】BACE1がアルツハイマー病の治療標的に
Nature Communications
2012年4月11日
Disease: Hitting the BACE in Alzheimer’s disease
可溶性のアミロイド前駆体タンパク質が、特殊な酵素と相互作用して、他のもっと有害なアミロイドタンパク質の蓄積を減らすことができることを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。今回の研究は、ある独特な均衡作用に関する新知見をもたらしており、この作用が不全状態になることが多く、それがアルツハイマー病の発症に寄与することを明らかにしている。アミロイド前駆体タンパク質のプロセシングは、時々、不調になって、疾患を引き起こすアミロイドペプチドの過剰産生が起こることがある、アミロイドペプチドが蓄積すると、アルツハイマー病と一般的に関連するプラークが発生する。可溶性のアミロイド前駆体タンパク質種sAPP-αは、この過程を阻害し、アルツハイマー病の発症を防いでいる。
今回、J Tanたちは、疾患を引き起こすアミロイドタンパク質を発現するように作製されたチャイニーズハムスターの卵巣細胞にsAPP-αを投与し、その効果を調べた。その結果、sAPP-αの投与によって、チャイニーズハムスターの体内で産生される有害なアミロイドタンパク質の量が減ることが判明した。そして、Tanたちは、アルツハイマー病様の病状を見せるトランスジェニックマウスを遺伝的に操作して、sAPP-αの過剰発現を起こした。その結果、sAPP-αの過剰発現によって、特殊なセクレターゼ酵素BACE1の活性を阻害することで、アミロイドプラークの量が減ることがわかった。
Tanたちは、BACE1の活性を阻害する薬剤とsAPP-αを模倣する薬剤の開発が、アルツハイマー病の治療に有益な可能性があるという見解を示している。
doi: 10.1038/ncomms1781
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月5日
健康:超加工食品の摂取と体重減少の関係を調査するNature Medicine
-
7月31日
がん:呼吸器感染症が乳がんの肺転移を促進するかもしれないNature
-
7月29日
神経科学:免疫系は仮想現実においても潜在的な脅威に備えるNature Neuroscience
-
7月23日
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications