注目の論文
【がん】がん遺伝子の発現を減らす糖尿病治療薬メトフォルミン
Nature Communications
2012年5月30日
Cancer: Metformin reduces expression of cancer gene
糖尿病の治療薬メトフォルミンがマイクロRNAシステムを変え、がん細胞の発現を低下させることが明らかになった。この新知見は、メトフォルミンによる治療を受ける糖尿病患者において、がんの発生率が低下する過程を説明している。詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
メトフォルミンには、インスリン抵抗性を減少させ、血糖値を低下させる効果があるが、複数の研究により、メトフォルミンの投与でがん発生率が低下することが明らかになっていた。しかし、その機序は解明されていなかった。今回、G Blandinoたちは、メトフォルミンをマウスに投与したところ、腫瘍形成が抑制され、すでに形成された腫瘍も縮小したことを明らかにした。また、培養細胞において、メトフォルミンが、遺伝子発現を調節するマイクロRNAの発現パターンを変えた。また、培養細胞中で発現が変化した遺伝子のさらなる解析では、がん遺伝子c-Mycの発現低下が判明した。以上の新知見からは、培養細胞におけるメトフォルミンの抗がん作用の原因がマイクロRNA産生の変化であり、この変化によってがん遺伝子などの遺伝子の発現が変化したことが示唆されている。
doi: 10.1038/ncomms1859
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月5日
健康:超加工食品の摂取と体重減少の関係を調査するNature Medicine
-
7月31日
がん:呼吸器感染症が乳がんの肺転移を促進するかもしれないNature
-
7月29日
神経科学:免疫系は仮想現実においても潜在的な脅威に備えるNature Neuroscience
-
7月23日
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications