注目の論文
黒色腫治療薬に対する耐性を仲介するがん遺伝子の増幅
Nature Communications
2012年3月7日
Oncogene amplification mediates resistance to melanoma drugs
B-RAF阻害薬「ベムラフェニブ」に耐性のある一部の黒色腫患者にB-RAFの増幅が見られることを報告する研究論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。今回の研究は、こうした黒色腫患者における腫瘍の薬剤耐性機構に関する手がかりをもたらし、新たな薬剤耐性黒色腫の治療方法を示唆している。 B-RAFキナーゼは、大部分の黒色腫で変異しており、B-RAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ)が黒色腫の治療薬として開発されてきた。ところが、一部の患者がB-RAF阻害剤に対する耐性をもつようになり、黒色腫が再発している。今回、R Loたちは、20人の黒色腫患者を対象として、ベムラフェニブに対する耐性を形成する前後での遺伝子の塩基配列解読を行い、そのうちの6人において、変異したB-RAF遺伝子のコピー数が増えたことを明らかにした。また、これらの患者に由来する細胞株からは、下流のキナーゼERKの活性化が亢進していることが明らかになった。また、Loたちは、培養した黒色腫細胞をベムラフェニブとERK活性化を遮断する低分子で処理した場合、両者が協働して黒色腫細胞の増殖を抑制する作用があることを実証した。 これらの新知見は、この二重の阻害が、薬物耐性のある黒色腫の治療に有用な方法となりうることを示唆している。
doi: 10.1038/ncomms1727
注目の論文
-
9月30日
健康:非依存性大麻抽出物が慢性腰痛を軽減Nature Medicine
-
9月18日
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature
-
9月17日
健康:長期的なコロナウイルス感染症の後遺症は月経障害と関連するNature Communications
-
9月10日
健康:大麻の使用は女性の生殖能力に影響を与えるかもしれないNature Communications
-
8月26日
気候:熱波が老化に及ぼす長期的影響の解明Nature Climate Change
-
8月26日
医療研究:遺伝子編集された豚の肺が人間の体内で9日間機能したNature Medicine