注目の論文

健康:COVID-19の長期的影響のマッピング

Nature

2021年4月22日

Health: Mapping the long-term effects of COVID-19

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期重症度が高くなったことは、より長期的な合併症のリスクの上昇と医療資源の利用率上昇と相関していることを示唆した論文が、今週Nature に掲載される。今回の研究は、COVID-19の急性期から回復した米国退役軍人保健局のシステムの8万7000人以上の利用者が回復後の6か月間に経験した症状を詳細に記述しており、患者のケア戦略の策定と保健医療制度の計画に役立つ可能性がある。

COVID-19の急性症状の特徴は十分に明らかになっているが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の長期合併症は、それほど明らかになっていない。今回の研究で、Ziyad Al-Alyたちの研究チームは、米国退役軍人省の医療データベースのデータを用いて、COVID-19の急性期から回復した患者(入院しなかった患者7万3435例と入院した患者1万3654例)の回復時から6か月後までの診断、投薬、臨床検査結果を調べた。

Al-Alyたちは、COVID-19患者(入院しなかった者、入院した者、入院して集中治療室に収容された者)の転帰を比較して、右肩上がりのリスク勾配が存在していることを明らかにした。つまり、最も重症化した患者は、後に、COVID関連の健康上の問題がさらに生じるリスクが最も高かった。

また、発症後30日を経過したCOVID-19患者全員が、COVID-19未発症で未入院の退役軍人保健局のシステムの利用者(約500万人)と比べて死亡リスクが高く、追加で生じた健康上の問題のために医療支援を必要とする可能性も高いことが明らかになった。こうした症状には、呼吸器疾患、神経系疾患、精神疾患、代謝疾患、心血管疾患、倦怠感、疲労、筋骨格系疼痛と貧血が含まれていた。また、長期にわたる症状を経験している患者は、抗うつ薬、(不安を軽減するための)抗不安薬、鎮痛薬などの各種薬剤の使用量も増えていた。

今回の研究ではCOVID-19を発症した患者がその後発症する症状を特定できたが、Al-Alyたちは、これらの症状がCOVID-19の直接的な影響なのか間接的な影響なのかは判断できないと指摘している。

doi: 10.1038/s41586-021-03553-9

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度