COVID-19:大学の再開には、迅速検査、マスクの着用、接触の低減が必要
Scientific Reports
2021年3月17日
COVID-19: Reopening universities requires rapid testing, mask wearing and contact reduction
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時に、大学が再開を検討するには、マスクの着用、ソーシャルディスタンシング、接触の低減などの予防措置とともに、費用対効果が高くて容易に大量実施できる迅速検査が必要であることを示した論文が、Scientific Reports に掲載される。この知見は、米国内の86の大学で収集されたデータを用いたモデル化研究研究によって得られた。
今回、Ujjal Mukherjeeたちは、解析的モデル化によって、大学内でのCOVID-19の感染拡大のシミュレーションを行った。その結果、無症状の感染者からの伝播に関連する特定の課題が克服されていないため、接触者追跡は、感染拡大を阻止するのに不十分である一方、迅速なバルク検査を行うことで感染者数が減少することが分かった。
また、このモデルから、検査の性質、検査能力不足のいずれかの理由で検査結果の判明が遅れる場合、感染者が検査結果を待っている間も人々との接触を続けるため、検査の有効性が低下することも分かった。隔離措置の有効性が100%でない場合にも、検査の有効性は低下した。そしてMukherjeeたちは、マスクの着用や消毒などの予防措置を採用した場合の効果のシミュレーションを行い、検査率が高くても、こうした予防措置が十分に徹底されていない場合には、感染が急速に拡大することを明らかにしている。
以上の知見は、教育施設を安全に再開するためには、マスクの着用、ソーシャルディスタンシング、接触の低減などの予防措置の厳格な適用とバルク検査を組み合わせて実施することが必要であることを示唆している。Mukherjeeたちは、今回の研究で用いられた解析的モデルは、教育機関がその独自のCOVID-19データに基づいて、再開のための戦略の効果を比較評価する際に利用できる可能性があると考えている。
doi: 10.1038/s41598-021-84192-y
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月5日
健康:超加工食品の摂取と体重減少の関係を調査するNature Medicine
-
7月31日
がん:呼吸器感染症が乳がんの肺転移を促進するかもしれないNature
-
7月29日
神経科学:免疫系は仮想現実においても潜在的な脅威に備えるNature Neuroscience
-
7月23日
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications