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  • 奈良墨に着目した高大連携チーム、煤生成の通説を覆す発見

    地域の特産品である「奈良墨」への興味から、煤(すす)の生成過程について調べ、煤生成の通説を覆す発見をした、奈良県立奈良高等学校の廉明徳さんと久米祥子さん。京都大学の学生たちとの「高大連携」プロジェクトではあるものの、研究テーマの決定から実験、論文執筆、査読付き国際誌上での発表までやり遂げた2人と、指導に当たった同校の仲野純章教諭に、研究成果と高大連携について聞いた。

    2023年1月号

  • 遺伝統計学でヒトゲノムデータと医療・創薬をつなぐ

    近年、大規模なヒトゲノム研究から、医療や創薬にとって有用な情報が得られ始めている。このような研究を進めるには、大量のヒトゲノムデータを解析する必要があり、それを可能にしているのが、遺伝統計学である。遺伝統計学とは何か、遺伝情報からどんなことが分かるのか? 日本の遺伝統計学を牽引する、岡田随象・東京大学大学院教授に話を聞いた。

    2022年12月号

  • 100年以上謎に包まれていた4億年前の脊椎動物の正体

    しっかりした背骨があるものの、歯がなく鰭(ひれ)もない、わずか5cmの魚。1世紀以上前から数千体の化石が発見されていたパレオスポンディルスは、奇妙な形態故に、どの脊椎動物の仲間か謎のままだった。その頭骨の化石を精密に解析した平沢達矢・東京大学大学院理学系研究科准教授らは、この魚が「魚類から陸上脊椎動物への移行段階」に位置する動物であると突き止めた。

    2022年10月号

  • RNAの可逆的なリン酸化修飾を発見

    遺伝子を基にタンパク質を合成する過程において、アミノ酸を運ぶ転移RNA(tRNA)。その機能を調節する「RNAの可逆的なリン酸化」という新たな種類の修飾が、鈴木 勉・東京大学教授が率いる研究グループにより発見された。tRNAがリン酸化修飾されると、タンパク質合成の耐熱性が大きく向上することから、RNAのリン酸化修飾は、RNA医薬などへの応用も期待される。

    2022年9月号

  • 腫瘍へ確実に送達可能な生菌カプセル化システムを構築

    1世紀にわたり模索が続く、生菌を使ったがん治療。生菌製剤の免疫系回避と腫瘍部位への送達が課題である。コロンビア大学 博士課程6年に在籍する張本哲弘さんらは、このほど、菌体を包む莢膜多糖(CAP)を合成生物学の手法で自在にスイッチングする技術を開発。CAPの制御で、薬剤を兼ねる生菌をより多く腫瘍に送達できることを、生体で実証した。

    2022年7月号

  • 運転技術とマナーを兼ね備えたAI、『グランツーリスモSPORT』で勝利

    PlayStation®4︎の自動車レースゲーム『グランツーリスモSPORT』。新たに開発された人工知能(AI)が、このゲームの世界チャンピオンに勝利した。レースで勝つには、リアルタイムに車両を制御していく能力に加え、対戦相手に敬意を払って運転するマナーを学ぶ必要もあった。このAIの研究開発メンバーの1人、河本献太氏(株式会社ソニーAI)に話を聞いた。

    2022年6月号

  • ニューロン間の情報伝達は「押す力」でも引き起こされる!

    ニューロンの樹状突起には「スパイン」と呼ばれる出っ張り構造が多数あり、スパイン頭部は長期記憶の形成に際して増大することが知られている。この現象を見いだし、スパインの可塑性と機能について研究を続けてきた河西春郎・東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構特任教授は、このほど、スパインの頭部増大で生じた圧力が軸索側のシナプス前部を押すことで、ニューロン間の情報伝達が行われることを突き止めた。

    2022年5月号

  • 百寿者の腸内細菌の特徴から見えた、長寿の秘訣

    百歳以上の人たちの腸内細菌を調べる研究が行われ、長生きの秘密の1つが見つかった。百寿者の腸内細菌は、肝臓の分泌物である胆汁酸を代謝して、病原体に対し強い抗菌作用を示す物質を作り出していることが明らかになったのだ。宿主は腸内細菌により、感染症から守られていたわけだ。この研究を率いた本田賢也・慶應義塾大学教授に話を聞いた。

    2022年4月号

  • 小中学校の休校に感染抑止効果は確認できず

    2020年春、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める目的で、全国の小中高校を一斉休校とするよう市区町村に要請を出した。休校は、子どもたちに学習不足や運動不足などの悪影響を及ぼしただけでなく、親が休職を余儀なくされた家庭では、経済状況にも影響が及んだ。福元健太郎・学習院大学法学部教授は、自身の子どもの休校体験から「多くの犠牲をもたらした休校に、感染拡大の抑制効果はあったのか」と疑問に思い、公的なデータを用いて「休校にした自治体」と「開校にした自治体」の新規感染者数を比べ、「休校による感染抑止効果は認められない」との結果を得た。

    2022年2月号

  • スキルス胃がんの全ゲノム解析で見えた治療標的

    スキルス胃がんは進行が早く、発見されたときには手遅れのことが多い。それ故、研究用の検体を得るのが難しく、治療法の開発も遅れていた。今回、患者の腹水に含まれる細胞を用いることで、スキルス胃がんの網羅的ゲノム解析が初めて行われ、治療標的を見つけることに成功した。研究を行った国立がん研究センター研究所の間野博行所長と佐々木博己研究員に話を聞いた。

    2022年1月号

  • DOK7型先天性筋無力症の治療への道を開く抗体の開発に成功!

    神経と筋肉のつなぎ目には多様なタンパク質が集積していて、神経筋シナプスの形成と維持に寄与している。これらのタンパク質をコードする遺伝子に変異があると、先天性筋無力症(CMS)という深刻な神経筋疾患が引き起こされる。小出昌平・ニューヨーク大学医学部教授らは、DOK7と、DOK7が結合することで安定化するタンパク質MUSKの構造と機能を詳細に解析し、DOK7変異によるCMSの発症機序を解明。さらに、得られた知見に基づき、機能異常を救済する抗体の作製にも成功した。

    2021年11月号

  • 眼の水晶体が透明になる仕組みを追い続けて

    眼の中で、カメラのレンズのような働きをする水晶体。水晶体を構成する細胞は透明であり、核やミトコンドリアなどの、本来存在するはずの細胞小器官が全て消失している。細胞小器官の消失は、いったいどのような仕組みで起きているのか。この問いへの答えを探し求めてきた水島昇・東京大学教授は、ついにそれを解き明かした。

    2021年10月号

  • 神経回路の衰えた修復力を回復する因子を発見!

    脳の神経回路には、自己修復する機構が備わっているが、この修復力は加齢や神経変性疾患で衰え、認知や記憶などの脳機能が低下する。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の村松里衣子・神経薬理研究部長らの研究チームは今回、損傷した神経回路の修復を担うオリゴデンドロサイトを分化誘導するカギが、生理活性ペプチドであるアペリンと、その受容体APJを介したシグナル伝達系の増大にあることを見いだした。

    2021年7月号

  • 卵を産む哺乳類、カモノハシとハリモグラの高精度ゲノム解読に成功

    卵を産むなど哺乳類らしからぬ振る舞いで知られる、カモノハシとハリモグラ。およそヒトなどとはかけ離れた特徴を持つ哺乳類である。今回、そのゲノム配列が、国際的プロジェクトにより高精度で解読された。哺乳類の進化の謎を解き明かす手掛かりとなるのはもちろん、生息数が減少しているこれらの動物の保護に役立てるなど、さまざまな研究の土台となる貴重なリソースとなるだろう。化学受容体遺伝子の専門家としてこの研究プロジェクトに参加した早川卓志・北海道大学助教と二階堂雅人・東京工業大学准教授に話を聞いた。

    2021年5月号

  • アストロサイトに見つかった抑制性シナプス制御機能

    ニューロンはシナプスを介して情報をやりとりし、複雑な神経回路を作り上げる。脳内に150億以上あるとされるシナプスの保護を担うのは、グリア細胞だ。ところが近年、この細胞がシナプスの保護のみならずシナプスの形成や再編成にも、従来考えられてきた以上に積極的に関与している、とする報告が相次いでいる。髙野哲也・慶應義塾大学医学部助教らは、この細胞が2つのニューロンを橋渡しする細胞接着構造(三者間シナプス)に着目し、機能分子の網羅的解析を行うことで、アストロサイトの役割の1つに抑制性シナプスを調節する機能があることを見いだした。

    2021年4月号

  • 騒音や人工光による感覚汚染の影響を市民科学者データを活用して解明

    騒音や人工光は野生生物の生息に、どのような影響を与えているのだろうか。生物多様性の保全を考えていく上で、それを知ることは極めて重要である。市民科学者によって収集された全米レベルの大規模な観察データを利用し、鳥の繁殖活動に及ぼす音や光の影響が解明されつつある。研究を主導した先崎理之・北海道大学大学院助教に話を聞いた。

    2021年3月号

  • 腸幹細胞の維持にはIFNシグナルの抑制が重要

    幹細胞の維持に微小環境(ニッチ)が重要なことは既知だが、幹細胞の自己複製能と分化能が良いバランスで維持されている仕組みは、よく分かっていない。樗木俊聡・東京医科歯科大学教授らはこのほど、体内で常に作られている微量のインターフェロン(IFN)が腸幹細胞にとって大きな生理的ストレスになることを発見。正常な腸上皮細胞はそれを回避していることも見いだした。

    2021年2月号

  • 金星大気にホスフィンか? 地球からリモートセンシングで検出

    地球の90倍もの厚さの大気を持つ金星。地球とほぼ同じ大きさと密度でありながら、大気の組成や動態が地球とは大きく異なる理由は未解明のままだ。その謎に迫る金星探査機「あかつき」による観測データの他、地球上からの望遠鏡観測でも、貴重な情報が得られ始めている。後者の方法で得られた金星大気のデータについて、研究に参加した佐川英夫・京都産業大学教授に話を聞いた。

    2020年12月号

  • 統計学と情報学で病気を解き明かし、個々の患者に合った医療へ

    多数の遺伝要因が積み重なって起こる「複雑疾患(多因子疾患)」。糖尿病や心筋梗塞、統合失調症など、大半の病気がそうだ。そのような病気の解析手法である「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」を用いて、次々と研究成果を発表してきた鎌谷洋一郎・東京大学大学院メディカル情報生命専攻教授。GWAS研究は一時の停滞期からなぜ再び注目を浴びるようになったのか。世界の研究の潮流と今後の抱負について話を聞いた。

    2020年11月号

  • イネ茎伸長のアクセルとブレーキを担う2遺伝子を発見し、伸長の仕組みを解明!

    イネの遺伝子レベルの研究は盛んで、多種多様だ。だが茎が伸びる仕組みについては、茎を伸ばす植物ホルモン「ジベレリン」の存在が知られているものの、なぜジベレリンがあると茎が伸長するのかは不明だった。名古屋大学の永井啓祐助教、芦苅基行教授らは、洪水が起きると瞬く間に茎を伸ばす浮きイネを使って、茎伸長のアクセル役とブレーキ役を担う2つの遺伝子を突き止めた。

    2020年10月号