The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

エアロゾルが雲の厚さに及ぼす影響はわずかである

Nature 572 2019年8月1日

産業活動によるエアロゾルの放出は、雲を明るくし、その不透明度つまり積算雲水量を増大させることによって、かなりの寒冷化効果を生み出す可能性がある。しかし、エアロゾルの影響を気象の影響から分離するのが極めて困難であるため、この問題は依然として議論の的になっている。今回V Tellたちは、汚染の軌跡(製錬所や石油精製所などから放出される汚染物質の軌跡など)が、どのように雲の性質に影響を及ぼすか調べている。この研究から、エアロゾルによって雲の明るさが増すことが確かめられたが、積算雲水量への影響はごくわずかであることが立証された。今回の知見は、雲水積算量に対する火山噴火の影響が同様に小さいという以前の結果を拡張するものである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02287-z

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1423-9

2

蚊の侵入種の野外におけるほぼ完全な除去

Nature 572 2019年8月1日

Z Xiたちは今回、デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルスを媒介する強健で侵略的な蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の個体群抑制を目的として、中国で行われた野外試験の結果について報告している。中国広州市の2つの実験場で、ボルバキア属(Wolbachia)の細菌を感染させて放射線照射した蚊を放飼した結果、標的とした蚊個体群がほぼ完全に除去された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1407-9

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02000-0

3

脳脊髄液排出のホットスポット

Nature 572 2019年8月1日

G Koh、J Ahnたちは今回、脳脊髄液(CSF)の高分子が、頭蓋底部の髄膜リンパ管(mLV)を介して中枢神経系から排出されることを示している。彼らは、これらのリンパ管の解剖的位置を精密に可視化し、CSFの取り込みと排出を促す特異的な形態的特徴を明らかにしている。著者たちはさらに、加齢に伴ってmLVに綻びが生じCSFの排出が低下することを示す。今回のマウスでの知見がヒトにも当てはまるのであれば、加齢に伴う神経の病態生理的変化に新たな視点がもたらされると期待できる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1419-5

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02166-7

4

Gタンパク質の活性化を見る

Nature 572 2019年8月1日

Gタンパク質共役受容体(GPCR)の構造情報は、最近続々と報告されているが、Gタンパク質の活性化についての我々の知識の方は依然として不足している。B Kobilkaたちは今回、アゴニストやGiタンパク質と複合体を形成したニューロテンシン1受容体の構造を報告している。この研究では、GPCR–Gタンパク質複合体の以前に報告された構造中で観察された「カノニカルな」活性化状態に加えて、回転したGタンパク質がより固定されたヌクレオチド結合ポケットを持つ「非カノニカルな」コンホメーションが観察された。この新規なコンホメーションは、不活性状態と活性状態の間の中間体のように見える。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1337-6

5

ポラリトン–ポラリトン相互作用を増強する

Nature 572 2019年8月1日

励起子ポラリトンは、部分的に光で部分的に物質の準粒子であり、半導体ヘテロ構造体の電子–正孔対(励起子)と共振器の電磁波の強い結合から生じる。こうした二面性によって、この準粒子の物質部分を通して、通常は相互作用しない光子が強く相関した相を生み出すことができる。今回A Imamogluたちは、半導体ヘテロ構造体に閉じ込められた二次元電子系の分数量子ホール領域において、このポラリトン–ポラリトン相互作用を増強できることを実証している。この増強の起源は依然として未解決の問題であるが、相互作用の増強によって、長く探し求められてきたポラリトン閉塞領域に到達できる可能性がある。

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1356-3

6

魔法角ねじれ2層グラフェンにおける分光観測

Nature 572 2019年8月1日

輸送研究によって、ねじれ2層グラフェンにおける超伝導や相関絶縁状態の発見が可能になり、非従来型超伝導に求められている発現機構に関する知見が得られている。根底にある電子構造の解明には、補完的手法を用いる電子状態の評価が不可欠である。今週号では、こうした評価を行った2報の論文が掲載されている。A Pasupathyたちは、走査型トンネル分光法を用いて、魔法角ねじれ2層グラフェンの電子構造をマッピングし、相関誘起ギャップを見いだしている。この結果は、魔法角ねじれ2層グラフェンの創発相の背後にある電子相関を直接特徴付けるものである。Pasupathyたちはさらに、この系と他の非従来型超伝導体の間に、電子ネマティック性という別の類似性を観測している。別の論文ではA Yazdaniたちが、同様の方法で魔法角ねじれ2層グラフェンの電子構造をマッピングし、広いドーピング範囲にわたって電子–電子相互作用に特徴的な特性を見いだしている。Yazdaniたちはまた、既知のモデルを拡張してこの相互作用を捉え、魔法角ねじれ2層グラフェンが他の非従来型超伝導体と同様に強相関電子系であることを実証している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02285-1

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1431-9

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1422-x

7

臨床で急性腎障害を予測する

Nature 572 2019年8月1日

急性腎障害のような臨床合併症を発症する患者を予測できれば、早期治療が可能になり、合併症を減らすことができるだろう。J Ledsamたちは今回、70万人を超える患者の電子健康記録データセットを用い、臨床パラメーターを組み込んだ継続的な人工知能ベースの急性腎不全予測モデルを開発した。このモデルは、一部の症例で、最長で発症の48時間前に急性腎障害が起こることを予測できた。これは、リスク評価や早期治療の提供に役立つと思われる。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02308-x

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1390-1

8

先天性筋ジストロフィーの治療にCRISPRを使う

Nature 572 2019年8月1日

先天性筋ジストロフィー1A型(MDC1A)は、ラミニンα2の変異が原因で、末梢神経のミエリン化や筋繊維の安定性が損なわれる。ラミニンα2と同類のタンパク質であるラミニンα1(Lama1)の発現をマウスモデルで上昇させると、筋消耗や麻痺を補償して改善できることが分かっている。しかし、Lama1遺伝子は大型で、臨床での遺伝子治療に使われるベクターが何であれ、そのパッケージング容量を超過してしまうため、Lama1を上向き調節することは難しい。D Kemaladewiたちは今回、CRISPRを介した遺伝子活性化システムを使って、マウスの骨格筋と末梢神経でLama1の発現を促進した。発症前のマウスでは、この方法によって筋繊維症と麻痺が予防された。意外にも、この治療法はすでに症状が見られているマウスにも効果があることが明らかになった。従って、これらの知見は、Lama1の治療的に意義のあるような上向き調節が可能だという原理証明となる。変異とは無関係のこの手法は、MDC1Aの患者に対しては新たな治療法への道を開くものであり、他のさまざまな疾患修飾遺伝子にもさらに広く適用できる可能性がある。

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1430-x

9

免疫に関連するカルシウムシグナル伝達の解明

Nature 572 2019年8月1日

病原体に関連するエフェクター分子は、動物における場合と同様に、植物でも自然免疫応答を活性化する。この応答の古典的な出力はカルシウムシグナル伝達であるが、この重要な段階の詳細についてはまだ明らかにされていない。S Luanたちは今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)では、病原体によって引き起こされるカルシウムシグナル伝達に、サイクリックヌクレオチド依存性チャネル(CNGC)である2種のタンパク質CNGC2とCNGC4の両方が必要であると報告している。著者たちはさらに、このチャネルは静止状態ではカルモジュリンによって阻害されているが、病原体の攻撃を受けた時に、パターン認識受容体複合体の構成因子であるエフェクターキナーゼBIK1によってリン酸化を受け、活性化されることを示している。その結果として、すでによく知られている、免疫に関連する細胞質のカルシウムレベルの増加が起こる。

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1413-y

10

子宮内無菌仮説へ逆戻り

Nature 572 2019年8月15日

ヒトの子宮は、健康な妊娠では無菌であると長い間考えられてきたが、最近の研究からは、ヒトの胎盤には独自の微生物相があることが示唆されている。この疑問を正確に調べるには、経膣分娩と帝王切開分娩を対比させたさまざまな出産転帰を含む大きなサンプルサイズに加えて、方法間での一致を判定するための、そして可能性のあるコンタミネーションの原因を特定するための厳密な実験対照群が必要となる。M de Goffauたちは今回、そのような研究の結果を報告しており、ヒトの胎盤には微生物相がないことを明らかにしている。ただし、試料の約5%では、日和見病原体であるB群連鎖球菌が見つかった。これらの知見は、胎盤の細菌感染は妊娠の有害転帰における一般的な原因ではないこと、そして、ヒトの胎盤は通常は無菌であることを示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1451-5

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02262-8

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