The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

2017年5月25日 ~ 2017年6月24日

  • T細胞機能不全の2つの段階

    Nature 545 (2017年5月25日)

    CD8 T細胞は、がん細胞に対する免疫応答の非常に重要な構成要素であるが、固形腫瘍はCD8 T細胞が存在するにもかかわらず、悪性度が高くなることが多い。これらの腫瘍特異的T細胞がどのようにして機能不全に陥るのか、また再プログラム化され得るかどうかはよく分かっていない。A Schietingerたちは今回、固形腫瘍由来の疲弊した機能不全T細胞のエピジェネティックプロファイルを解析した。彼らは、機能的T細胞から機能不全T細胞へのエピジェネティックな再プログラム化は2段階で起こり、まず可塑的状態を経てから固定状態に移行すること、そして可逆的なのは最初の段階のみであることを明らかにしている。T細胞機能不全のエピジェネティック調節を理解することは、がん免疫療法の一環としての治療用再プログラム化を考える上で重要となるだろう。

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    doi: 10.1038/nature22367 | 全文  | PDF

  • クエーサーの探求で見つかった活発な星形成銀河

    Nature 545 (2017年5月25日)

    巨大な楕円銀河は、赤方偏移4の位置ですでに観測されている。このことから、極めて活発に星形成をしている銀河がさらに高赤方偏移の位置に存在していなければならないことになるが、そのような銀河はこれまで見つかっていない。今回R Decarliたちは、赤方偏移が6を超える位置で、クエーサーのホスト銀河のそばにあって、要求される生成率で星形成している銀河を4つ発見したことを報告している。そのような銀河の存在は、銀河と構造形成のシミュレーションでは予測されておらず、クエーサーのホスト銀河を研究する一環で偶然発見された。こうした銀河が、今まで見つかっていない種族の典型なのであれば、その存在頻度は十分高く、大質量楕円銀河を説明できる。

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    doi: 10.1038/545418a | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature22358 | 全文  | PDF

  • 高温超伝導の秘密を探る

    Nature 545 (2017年5月25日)

    高温超伝導は複雑な現象のように見えるが、その基本的な特徴は、非常に単純なフェルミ・ハバード模型によって捉えられる。極低温量子気体を用いることによってこの模型を模倣できるようになったが、超伝導などの長距離相関に基づく興味深い現象を調べるには、系を極めて低い温度にする必要がある。今回、A Mazurenkoたちは、こうした興味深い低温相に向けた画期的な成果を示している。系全体に及ぶ相関長を持つ反強磁性体を作り出したのである。著者たちが開発した量子気体顕微鏡が、この成果の基盤となった。極低温量子気体によって、基底状態に近いフェルミ・ハバード系のシミュレーションが間もなくできるようになり、高温超伝導の機構の解明に役立つ可能性がある。

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    doi: 10.1038/545414a | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature22362 | 全文  | PDF

  • ディーゼル車の排ガスの危険性

    Nature 545 (2017年5月25日)

    窒素酸化物などの自動車排ガスは、ヒトの健康と環境に害を及ぼし得る大気汚染の一因となる。ディーゼル車は、世界の窒素酸化物排出量の約20%を放出し、実際の走行条件下で排出する窒素酸化物は、試験機関での認証試験時より多い。今回、世界のディーゼル車販売の約80%を占める11の市場において、路上走行大型車のおよそ3分の1と路上走行小型車の2分の1以上が、窒素酸化物排出量の認証限度を超えていることが見いだされた。2015年には、ディーゼル関連の「過剰な」窒素酸化物排出が、微小粒子状物質とオゾンに関連する全世界の約3万8000件の若年死と関係しており、EU加盟国におけるオゾン関連の全若年死者の約10%がこれに含まれている。著者たちは、大半の地域において、大型車がディーゼル関連窒素酸化物の過剰排出とそれに伴う健康影響の主な原因となっていることを明らかにしている。

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    doi: 10.1038/nature22086 | 全文  | PDF

  • 視索前野の睡眠促進ニューロン

    Nature 545 (2017年5月25日)

    視床下部の視索前野(POA)は、典型的な睡眠の調節に不可欠な領域の1つだが、この脳領域が睡眠調節過程にどのように関わっているかはよく分かっていない。今回Y Danたちは、さまざまな機能を持つニューロンが混在する中で、POAのニューロン群を特異的に標識する神経投射追跡法を用いて、POA内の睡眠時活動ニューロンの役割を解析した。その結果、POAの睡眠ニューロンはGABA作動性で、結節乳頭核に投射していて、睡眠時に活動するばかりでなく、活性化されると睡眠を促進することもできた。また、単一細胞の分子解析によって複数の遺伝子マーカー候補が挙がり、これらは今後、睡眠ニューロンを標的とした睡眠制御回路の解析に利用できるだろう。

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    doi: 10.1038/nature22350 | 全文  | PDF

  • 蚊においてジカウイルスの感染力を高める変異

    Nature 545 (2017年5月25日)

    デング熱ウイルスやジカウイルスなど、いくつかのフラビウイルスは、蚊によって伝播する。G Chengたちは以前に、蚊によるフラビウイルスの獲得は、フラビウイルスのNS1(non-structural protein 1)の影響を受けることを示している。NS1は、感染宿主の血清に分泌され、蚊は吸血の際にウイルスと共にNS1も獲得する。今回Chengたちは、このような機構がジカウイルス(ZIKV)を媒介するネッタイシマカ(Aedes aegypti)においてZIKV感染の獲得を高めるためにも働いていることを示す。著者たちは、NS1の分泌を上昇させて、蚊によるZIKVの獲得を増加させるNS1変異を明らかにしている。また、ZIKVのアジア系統の分離株のNS1タンパク質を調べたところ、この変異が2013年以降に集められた全ての分離株に観察されることも分かった。著者たちは、このNS1変異が最近の流行の迅速な拡大に関わった可能性があると考えている。

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    doi: 10.1038/nature22365 | 全文  | PDF

  • 植物の免疫をプログラムする

    Nature 545 (2017年5月25日)

    植物が、転写応答の再プログラム化によって免疫応答を引き起こしていることはよく知られている。今回X Dongたちは、包括的なトランスレートーム(translatome)解析を通じて、植物が、病原体誘導性免疫を確立するために転写産物の変化とは独立に翻訳産物も調節していることを見いだした。これによって植物の免疫応答の新たな調節因子が明らかとなり、こうした状況で翻訳効率の変化を受けるメッセンジャーRNAの分子シグネチャーが特定された。著者たちはまた、この知見に基づいて病害抵抗性の植物を作出できることを、別の論文で実証している。実験室および野外の両方で、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)とイネに翻訳制御を導入して免疫メディエーターの産生を促進させると、植物の適応度を損なうことなく病害抵抗性を付与できることが示された。

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    doi: 10.1038/nature22371 | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature22372 | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature22497 | 全文  | PDF

  • 腫瘍免疫を遮断する

    Nature 545 (2017年5月25日)

    PD-1(programmed cell death protein 1)とそのリガンド(PD-L1)との相互作用を阻害する治療用抗体は、細胞傷害性T細胞を活性化することが知られている。I Weissmannたちは今回、マウスを使って腫瘍浸潤性マクロファージでのPD-1の役割を調べ、PD-1を発現しているマクロファージのファゴサイトーシス活性は十分強くないこと、またPD-1–PD-L1経路の遮断はファゴサイトーシスを増強し、腫瘍増殖の抑制と相関することを明らかにした。この知見は、PD-1–PD-L1阻害剤の治療活性にT細胞非依存的機構が含まれることを示唆しており、この結果は臨床に関わってくるだろう。

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    doi: 10.1038/nature22396 | 全文  | PDF

  • がんプログレッションにおける代謝変化の役割

    Nature 545 (2017年5月25日)

    細胞の代謝の変化は、さまざまながんでよく見られる。こうした代謝の変化ががんの発生に直接影響を及ぼす仕組みは、研究がなされているところである。服部鮎奈(米国ジョージア大学)たちは今回、慢性骨髄性白血病において代謝酵素BCAT1がMusashi2を介して発現上昇することを明らかにしている。BCAT1は、分枝鎖ケト酸をアミノ化することで、分枝鎖アミノ酸(BCAA)にする機能を持つことが示された。BCAT1の阻害は、マウスの慢性骨髄性白血病において分化を誘導し、増殖を妨げた。ヒトでは、BCAT1発現の上昇は疾患の予後不良とも関連が見られたことから、他のバイオマーカーと共に用いることで、患者の疾患の予後予測に役立つ可能性がある。

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    doi: 10.1038/nature22314 | 全文  | PDF

  • タンパク質の相互作用のマッピング

    Nature 545 (2017年5月25日)

    細胞に含まれる数千ものタンパク質は、その生物学的活性を協調させるためのモジュールやネットワークを形成して機能している。そして、細胞のプロテオーム構造を明らかにするタンパク質相互作用マップを構築する複数の大規模研究が、現在進行中である。今回W Harperたちは、アフィニティー精製と質量分析を組み合わせる手法を用いて、タンパク質相互作用ネットワークと共複合体(co-complex)を明らかにし、実験から得られたヒトプロテオーム相互作用ネットワークとしてはこれまでで最大であるBioPlex 2.0を作製した。BioPlex 2.0には、新規な共同関連性(co-association)が2万9000以上、細胞のさまざまな活動に関わるタンパク質共同体が1300含まれ、そのサイズはHarperたちが以前に発表した相互作用ネットワークBioPlex 1.0の2倍以上になる。BioPlex 2.0は、性質の分かっていないタンパク質や疾患との関係が疑われる遺伝子の研究に役立つ貴重な情報源となるだろう。

    Letter

    doi: 10.1038/nature22366 | 全文  | PDF

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