The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

2017年3月30日 ~ 2017年4月29日

  • 結晶のエネルギー–構造–機能マップ

    Nature 543 (2017年3月30日)

    結晶性分子化合物は、単純な法則に従って結晶化するのではなく、多くの弱い相互作用の組み合わせによって形成されるため、その構造と特性を「湿式」合成に頼ることなく予測し最適化することは困難なことがある。コンピューターによる計算やスクリーニングが役に立つ可能性もあるが、これらは利用可能な計算能力によって制限を受ける上、構造に関する事前知識や前提に頼ることが多い。今回G Dayたちは、構造予測マップを用いて、結晶性小分子のさまざまな充填状態をコンピューターで調べ、多孔性や気体貯蔵能力などの機能と、見いだされたそれぞれの妥当な構造を結び付けている。こうしたエネルギー–構造–機能マップは、一見有望に見えても計算で望ましくない特性を持つと予測された構造を除外することで、合成研究の指針となる可能性がある。著者たちは、多孔性有機物としては過去最低の密度の多孔性固体として結晶化する分子を合成して、この方法を実証している。

    Article

    doi: 10.1038/nature21419 | 全文  | PDF

  • 海を守るには人員が必要

    Nature 543 (2017年3月30日)

    海洋資源の保全を期待して、海洋保護区の設定が急増している。D Gillたちは今回、こうした海洋保護区の効果が、人員の不足によって全球的に削がれていることを示している。彼らは、世界各地の海洋保護区に関する魚類バイオマスデータおよび管理データを分析し、対象となった海洋保護区の71%で魚類個体群に有益な効果が見られるものの、こうした効果には大きなばらつきがあることを明らかにしている。こうしたばらつきを説明する変数としては人員の数が最も重要であることが分かり、その影響は海洋保護の効果における変動の約19%を占めていた。著者たちは、人員および財源への十分な投資を欠いたまま海洋保護区を全球的に拡大し続けるのでは、海洋保全の十分な効果は得られないという考えを示している。

    Article

    doi: 10.1038/nature21708 | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature21895 | 全文  | PDF

  • マウスと記憶を解読

    Nature 543 (2017年3月30日)

    連想記憶の形成の基盤については、これまで分子や細胞の側面から多くの研究がなされてきたが、それに比べて神経集団が刺激間の連合をどのように符号化するかについてはあまりよく分かっていない。今回M Schnitzerたちは、自由行動するマウスで長期にわたり微小内視鏡による画像化を行い、条件刺激と無条件刺激を表現する扁桃体内の神経集団の活動を観測した。連合が形成され、強化されるのに伴って条件刺激の神経表現はだんだんと無条件刺激のそれに近づいていき、連合の消去中にはその逆が起こった。この知見は、教師付き学習モデルを裏付けており、扁桃体以外の脳領域で検証が可能である。

    Article

    doi: 10.1038/nature21682 | 全文  | PDF

  • 脂質代謝に関わる腫瘍抑制因子

    Nature 543 (2017年3月30日)

    がんはほとんど全ての種類の細胞から生じ得るが、心臓や骨格筋、脳など、ある種の組織は著しい抵抗性を持つと思われる。これらの組織の細胞(例えば筋肉における筋細胞)は概して非増殖性で、非常に特殊化しており、解糖ではなく酸化的リン酸化によってエネルギーを産生する。こうした特性の全ては、がん細胞とは明らかに対照的である。そのためR Weinbergたちは今回、これらの細胞がある種の腫瘍抑制因子を持っている可能性を検討した。マウスおよびヒトで行ったin vitroおよびin vivo研究の結果から、著者たちは、ミトコンドリアタンパク質のLACTBがミトコンドリアの新規腫瘍抑制因子であることを明らかにしている。乳がんでは、LACTBはミトコンドリアでの脂質代謝と細胞分化の促進をつなぐ役割を介して、腫瘍の形質転換を阻害した。

    Article

    doi: 10.1038/nature21408 | 全文  | PDF

  • 木星と同じ軌道を逆行する小惑星

    Nature 543 (2017年3月30日)

    最近の理論研究から、小惑星が、太陽系内の惑星と同じ軌道を逆方向に安定して回る可能性が示唆されている。2015年に、小惑星2015 BZ509が見つかったが、観測結果を使ってこの小惑星の軌道運動を決定することはできなかった。今回P Wiegertたちは、新たな観測結果を提示し、分析して、太陽系を俯瞰した場合に、2015 BZ509は太陽を反時計回りに回る(順行運動する)木星の領域内で時計回りに回っている(逆行している)ことを確かめている。彼らは、2015 BZ509が100万年の間、現在の状態のままである可能性を見いだしており、この小惑星がもとはハレー族の彗星であって、土星との相互作用によって共鳴状態に押し出された可能性があると推測している。木星などの惑星と同じ軌道を逆行する小惑星は、これまで考えられていたよりも一般的なのかもしれない。

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    doi: 10.1038/543635a | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature22029 | 全文  | PDF

  • 光を発する鉄

    Nature 543 (2017年3月30日)

    遷移金属錯体は、光増感剤や光触媒として用いられる他、発光デバイスにも用いられている。こうした用途の場合、遷移金属錯体は、基底状態から電荷移動状態に励起される必要があり、この電荷移動状態は、効率的な性能を確保するには一般的に寿命が長くなければならない。このため、こうした錯体に用いられている希少な高性能貴金属を、地球上に豊富に存在するもっと安価で毒性の低い金属に置き換えることが困難であった。今回P Cháberaたちは、電子的特性に優れた配位子を利用する設計戦略によって、電荷移動状態の寿命がこれまでになく長い鉄錯体が得られることを示している。この方法をさらに発展させれば、発光体や太陽エネルギーデバイスの光増感剤として使える鉄系材料が得られる可能性がある。

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    doi: 10.1038/543627a | 全文  | PDF

    Letter

    doi: 10.1038/nature21430 | 全文  | PDF

  • 食料の国際貿易によって水が枯渇する

    Nature 543 (2017年3月30日)

    国際貿易によって、「隠れた」資源と環境要因が国から国へとますます輸送されるようになっている。例えば、ロンドンの食卓に上るアスパラガスを生産するのに使われる水は、南米の灌漑に由来している可能性がある。同様に、中国で生じる汚染は、米国の消費需要に起因している可能性がある。C Dalinたちは今回、この考えを、農業貿易のために消費される再生不可能な地下水に拡張している。その結果、地下水の取水の11%が農業貿易と関連しており、パキスタン、米国、インドが全世界の総量の3分の2を占めていることが見いだされた。今回の研究から、ある国における食料の消費が他の国の地下水の枯渇をどの程度もたらすかが明らかになり、食料の国際貿易の持続可能性と公平性の問題をさらによく考慮する必要性が浮き彫りになった。

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    doi: 10.1038/543633a | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature21403 | 全文  | PDF

  • 脳内で音をマッピングする

    Nature 543 (2017年3月30日)

    空間的ナビゲーションについての研究から、海馬で物理的空間が地図様に表現されている様子が詳細に報告されているが、この空間表現が、音など他の連続変数を符号化する、より一般的な機構の一部なのかどうかは分かっていない。今回D Tankたちは、連続的な周波数の音の出力をジョイスティックで操作する課題をラットに行わせ、その間の海馬ニューロンの活動を記録した。ニューロン群は、この課題中の全局面を符号化しており、特定の周波数の音に反応して別個の発火領域を形成した。音の高低軸を表現する海馬細胞は、ナビゲーション中に空間位置を表現する細胞と重複していた。著者らは、ナビゲーションの際に使われる機構と類似した神経表現機構が、より広範な認知プロセスで諸変数を符号化している可能性があると示唆している。

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    doi: 10.1038/543631a | 全文  | PDF

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    doi: 10.1038/nature21692 | 全文  | PDF

  • 腫瘍ネオアンチゲンが明らかに

    Nature 543 (2017年3月30日)

    がん体細胞変異が生み出すネオアンチゲンによって、悪性細胞と正常細胞を区別できるが、それらを個体ごとに確認・検証することが難題となっている。今回M Khodadoustたちは、ヒトB細胞リンパ腫ではMHCクラスII分子に提示されるネオアンチゲンが豊富に存在するという証拠を示している。ゲノミクスとプロテオミクスを統合した戦略を用いて、彼らは、変異腫瘍抗原がリンパ腫の免疫グロブリン重鎖および軽鎖に由来すること、そしてそれらがCD4 T細胞を介した細胞傷害性を誘導することを見いだした。

    Letter

    doi: 10.1038/nature21433 | 全文  | PDF

  • 遺伝子融合タンパク質を2種類の薬の標的にする

    Nature 543 (2017年3月30日)

    BCR–ABL1変異を標的とする現行の阻害剤はこれまでに多くの命を救ってきたが、抵抗性をもたらす変異のために適用範囲が限られている。今回、ABLの新しいアロステリック阻害剤ABL001の詳しい性質が調べられた。ABL001は、BCR–ABLが原因の悪性腫瘍で新しい機構で酵素活性を阻害するので、抵抗性が生じている症例にも使用できる可能性がある。著者たちは、この薬の効力と抵抗性出現の機序が他のBCR–ABLキナーゼ阻害剤とは重複しないことを指摘している。

    Letter

    doi: 10.1038/nature21702 | 全文  | PDF

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