Nature ハイライト

物理化学:結晶のライフサイクル

Nature 570, 7762

J Miaoたちの研究グループは以前、原子分解能の電子線トモグラフィー法(AET)を用いてナノ粒子内の全原子の位置を明らかにしている。今回、同じ研究グループが、前回の手法をさらに発展させて、アニーリング時に母相から結晶核を生成し成長しつつあるFePtナノ粒子において原子の三次元原子秩序化を調べている。著者たちは、新たに生成する結晶の初期段階の結晶核生成、結晶成長、ゆらぎ、溶解、融合、分裂を観察した。その結果、初期段階の核が非球形であり、それぞれの核が1原子から数原子からなるコアを持ち、その秩序パラメーター勾配がコアから境界に向かっていることが見いだされた。こうした観察結果は、最近大いに議論の的になっている古典的核生成理論と矛盾するようであり、今回の観察結果の説明には新しい理論が必要になると、著者たちは提案している。現時点では、今回の手法は、顕微鏡から試料を取り出してアニーリングした後、次の解析のために基板上の位置を基にナノ粒子を正しく特定する必要がある。将来、装置を改良すればin situ での四次元AETが可能になり、時間分解能が向上することで、さまざまな動的現象の研究に向けて新しい道が開かれる可能性がある。

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