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Cover Story:知られざる才能:カレドニアガラスと同じく「巧みに道具を使う」ことが明らかになったハワイガラス

Nature 537, 7620

小枝を道具として使い、樹木の穴の中に潜んでいる幼虫を取り出そうとしているハワイガラス。
小枝を道具として使い、樹木の穴の中に潜んでいる幼虫を取り出そうとしているハワイガラス。 | 拡大する

Credit: Ken Bohn / San Diego Zoo Global

表紙は、棒状の小枝を道具として使って太い枝の中から餌を引き出すハワイガラス。カラス科の鳥類は知能が高いことで有名である。ニューカレドニアに生息するカレドニアガラス(Corvus moneduloides)は、餌を採るために道具を作り、それを使うことがよく知られている。C Rutzたちは今回、こうした習性を持つ鳥はカレドニアガラスだけではないことを明らかにした。太平洋のハワイ諸島に生息する別種のカラスであるハワイガラス(C. hawaiiensis)がその仲間に加わったのである。ハワイ語の名前の「アララー(‘Alalā)」の方でよく知られているこのカラスは、幼鳥期に自然に道具の使い方を覚え、道具を巧みに使う能力はこの種の全体にわたって見られる。著者たちがこのことを確信を持って言えるのは、ハワイガラスは野生ではすでに絶滅しており、今回の実験は全て飼育下にある109羽の生存個体のうちの104羽について行われたからである。今回の研究結果は、熱帯のカラスの技術的熟練は、離島に見られるどちらかというと異例の生態環境、つまり潜んでいる餌を捕食することに対する競争が少ないことや、低い被食リスクなどによって助長された可能性を示唆している。道具を使用する第二のカラス種が発見されたことは、動物での道具の使用に関する比較研究に興味をそそる道を開くことになりそうだ。

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