Letter

行動生態学:ハワイガラスの種規模での道具使用の発見

Nature 537, 7620 doi: 10.1038/nature19103

野生で採餌用の道具を使用することが知られている鳥類種はごくわずかである。その中でカレドニアガラス(Corvus moneduloides)は、高度な道具作製技能を持つ点で際立っている。さまざまな推測が行われているが、本種の道具に関する注目すべき行動の進化的起源はほとんど明らかになっていない。その主な理由は、自然界で道具を使用する同属の種が他に見つかっておらず、有益な比較解析が行えないためである。今回我々は、熱帯に生息する同じカラス科カラス属の別の種であるハワイガラス[C. hawaiiensis;現地では「アララー(‘Alal ā)」と呼ばれる]が極めて器用に道具を使用することを示す。野生のハワイガラスは2000年代初頭に絶滅し、現在生存しているのは飼育されたものだけだが、少なくとも2通りの証拠から、ハワイガラスの自然の行動レパートリーに道具の使用が含まれていることが示唆される。それらの証拠とは、幼鳥が訓練や成鳥からの社会的入力を受けずに機能的な道具使用をできるようになることと、巧みな道具使用が種全体の能力であることである。ハワイガラスとカレドニアガラスは熱帯の離島という類似の環境で進化したが、類縁関係はやや離れていることから、両者の技術的能力は収斂的に生じたことが示唆される。このことは、「鳥類の採餌用の道具の使用が、樹木などの内部に潜んだ獲物を餌にすることによる競争の低減や低い捕食リスクといった、島嶼に典型的な生態学的条件によって促進される」という説の裏付けとなる。今回の発見は、カラス科の複数の道具使用種と非使用種とを比較研究するための絶好の機会をもたらす。そうした研究から、霊長類系統とのタクソン横断的な比較研究の道が開け、道具使用行動の進化的起源を解明するための有益な手掛かりが得られるだろう。

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