Nature ハイライト

神経生理学:機械的疼痛を調節するNav1.1チャネル

Nature 534, 7608

Na<sub>v</sub>1.1のサブタイプを特異的に標的とする2つの毒素を作り出す、オオツチグモ科の<i>Heteroscodra maculata</i>。
Nav1.1のサブタイプを特異的に標的とする2つの毒素を作り出す、オオツチグモ科のHeteroscodra maculata。 | 拡大する

Credit: Lucas Foglia

電位依存性ナトリウム(Nav)チャネルのNav1サブタイプのいくつかに影響を与える変異が、無痛症や持続性疼痛症候群に関連することが明らかになっている。Nav1.1は体性感覚ニューロンに発現するが、このサブタイプと侵害受容との直接的な結び付きはまだ確認されていない。さらなる研究がこれまで難しかったのは、Nav1ファミリーのごく近縁なメンバー間を識別する薬理学的物質がなかったためである。今回D Juliusたちは、サブタイプNav1.1を特異的に標的とする2種類のクモ毒を明らかにし、これらを使って、このチャネルが有髄Aδ感覚繊維による機械的疼痛の特異的伝達に極めて重要だが、熱的疼痛の調節には重要ではないことを明らかにした。これまでのNav1.1の遺伝学的研究で、これに選択的に作用する薬物が、てんかんや自閉症、アルツハイマー病などの中枢神経系関連疾患において治療の道を開く可能性は示唆されていたが、今回報告されたような機械的疼痛の調節へのNav1.1の関与は予想されていなかった。

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