Nature ハイライト

神経科学:シナプス形成の時間と場所

Nature 523, 7558

胚発生の際には、ニューロン間のシナプスが正しい時に正しい場所につくられることが重要である。線虫の一種Caenorhabditis elegansの2種類の運動ニューロンDDとVDの例では、DDニューロンは1齢幼虫期に神経支配を腹側から背側に変更するが、VD運動ニューロンはDD運動ニューロンと異なり、そうした神経支配パターンの変更をしない。今回、O Hobertたちは、3つの遺伝子調節因子(UNC-30、LIN-14、UNC-55というDNA結合タンパク質)と、それらが標的とする分子(これまで知られていなかった細胞外「シナプス組織化」タンパク質、OIG-1)が、DDニューロンとVDニューロンの適切な結合形成や結合再形成を制御していることを突き止めた。この研究により遺伝子発現調節の「交差的」戦略が明らかになった。つまりUNC-30は、DDニューロンでは時間的制御下にあるが空間的制御下にはないLIN-14と協働的に働くが、VDニューロンでは空間的制御下にあるが時間的制御下にはないUNC-55と協働的に働くのである。

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