Nature ハイライト

高エネルギー物理学: B中間子からμ粒子へのまれな崩壊の観測

Nature 522, 7554

素粒子物理学の標準模型を超える物理学を探索する際の有望な手段の1つは、素粒子衝突型加速器によって生み出される超高エネルギー過程を考察することである。今回、世界最大の素粒子加速器であるCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において研究しているCMS collaborationとLHCb collaborationが、B中間子からμ粒子への極めてまれな崩壊を観測した結果を報告している。この崩壊で標準模型の予言との食い違いがあれば、それは標準模型を超える理論の有望な候補と考えられている超対称性を示している可能性がある。しかし、CMS collaboration とLHCb collaborationの観測を組み合わせた結果は標準模型を裏付けており、超対称性を示す兆候は全く見られなかった。この春、より高い運転エネルギーで再稼働したLHCによって、B中間子の生成率は高まるため、新しい意外な発見や素粒子の標準模型を超える理論の絞り込みが可能になるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度