Nature ハイライト

発生:腸での未分化細胞の維持に働くノッチ

Nature 435, 7044

膜を通過してシグナルを送る経路が、マウスの腸の上皮細胞の運命を制御していることが、独立に行われた2つの研究から明らかになった。  腸上皮細胞の分化を制御する機構はよくわかっていない。ノッチシグナル伝達経路は多様な細胞で発生へのかかわりが知られているが、今回の2つの研究で、マウスの腸の発生過程とノッチの活性のかかわりが明らかになった。S Artavanis-Tsakonasたちは、ノッチの活性化が腸の細胞の分化を阻害し、前駆細胞のプールを拡大することを示している。  H Cleversたちは、アルツハイマー病の治療用に開発された阻害薬でノッチ経路を遮断すると、マウスの腺腫で腸細胞の分化が引き起こされることを報告している。つまり、この種の薬は大腸癌の治療に利用できるかもしれないということだ。まとめると、ノッチシグナル伝達経路はマウスの腸で未分化細胞を維持するのに重大な役割を担っていることになる。

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